インフルエンザ・コロナを防ぐ最新・栄養ケア(※画像はイメージです)

 感染症が気になる季節がやってきた。例年、冬を中心に流行するインフルエンザが、今年は異例の早さで流行入り。9月にはすでに各地で患者が報告されており、注意報が発令されている地域も。また、新型コロナウイルス感染症の患者数も増加傾向にある。手洗い、マスク、換気……できる対策はしているのに、感染症にかかってしまう人は一定数出てしまう。

対策を実施しても感染するワケは?

順天堂大学大学院医学研究科准教授・竹田和由先生

 その理由のひとつは感染症予防の基本が抜けているから、と指摘するのは、免疫研究の専門家である竹田和由先生。

「感染症を防ぐには、まず体調を整えることが大切です。気温が急に変わったり、生活リズムが乱れたりすると、体調を崩して免疫力が落ち、感染症にかかりやすくなります。ですから、十分な睡眠と適度な運動、そして栄養バランスのよい食事を3食とる。日々の体調管理が、感染症予防の基本的な対策になります」(竹田先生、以下同)

 免疫をしっかり働かせるには特に食事が大事、と竹田先生は話すが、具体的にはどんな食事をとればよいのだろうか。

「タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルなど、さまざまな栄養素をバランスよくとることが大事です。

 中でも“免疫の土台”となるタンパク質は、意識して摂取しないと不足しやすいので、積極的にとりたい栄養素です」

免疫力を維持するにはタンパク質が必要

感染症を予防するパーフェクト食品3選。免疫細胞の材料となる、タンパク質が豊富に含まれている発酵食品がベスト。納豆は卵や野菜と組み合わせると、さらに栄養バランスがよくなる。ヨーグルトも乳酸菌とタンパク質が一緒にとれるおすすめ食品。朝食や間食にも取り入れやすい。豆腐はタンパク質が中心の食品だが、それにキムチなどを組み合わせると優良な一品になる

 そもそも免疫とは、ウイルスや細菌などから身体を守る仕組みのこと。その中心となって働くのが“免疫細胞”である。外部から侵入した異物を見つけて攻撃したり、ほかの免疫細胞に知らせたりして、身体を守っている。その武器のひとつが“抗体”で、ウイルスや細菌につき、攻撃の足がかりにしている。

「免疫細胞や抗体をつくる材料となるのがタンパク質です。免疫細胞はもともと寿命の短いものもあり、材料となるタンパク質をしっかりとっていないと細胞供給が追いつかなくなります。タンパク質が不足すると、十分な免疫機能を維持できなくなって、感染症に罹患するリスクが高まります」

 タンパク質というと、筋肉をつくる栄養素というイメージが強いが、実は免疫力を正しく機能させて身体を守るためにも欠かせない栄養素なのだ。ところが、先述したようにタンパク質は不足しやすい。

「太りたくないから肉を控える、食事量そのものを減らすなど、ダイエットを意識している人は特にタンパク質が不足しがちです。また、和食は健康的というイメージがありますが、肉や魚をしっかり食べないと、タンパク質不足になることも。忙しくて、おにぎりだけですませてしまったりすると、タンパク質が十分にとれません」

 タンパク質の1日の摂取必要量は、女性だと50gが目安(男性が60〜65g)。それを3食バランスよく分けてとるのが理想だという。

「タンパク質20gをとろうとすると、鶏肉だと100gぐらい食べないといけません。鶏肉20gではダメなんです。それなりのボリュームの食事でないと必要量はとれません。特に朝食や昼食は不足しがちです。肉や魚だけでなく、卵、牛乳、ヨーグルト、大豆製品などを組み合わせるなどの工夫が必要です」

免疫力アップには腸活だけじゃ足りない!?

 また、もうひとつ免疫力アップのカギとなるのが、腸内環境の改善だ。免疫機能の向上には、タンパク質などの栄養素をとって免疫細胞を十分に増やし、その上で乳酸菌や発酵食品などを一緒にとって、免疫細胞を活性化させる両輪で取り組むことがポイントになる。

「腸内環境を整えることももちろん大事ですが、それだけでは腸の免疫細胞そのものが十分につくられていないため、効果は上がりません。そういう意味で、免疫細胞の材料であるタンパク質は“免疫の土台”といわれるわけです。その摂取を基本に、ビタミン、ミネラルなど、さまざまな栄養素をバランスよくとって、身体の土台をつくりながら、腸内環境も整えていくことが大切なのです」

 特に発酵食品は、免疫細胞を活性化させる乳酸菌が含まれているため、タンパク質とあわせてとりたい食品のひとつ。ただし、注意も必要とのこと。

「ひと口に乳酸菌といっても直接、免疫に働きかけるものもあれば、腸内細菌叢(細菌の集まり)を変えることで間接的に働くものもあります。免疫への働きを期待するなら、その機能についてエビデンスがある乳酸菌を含む食品を選んだほうが、より効果的でしょう」

 “乳酸菌○億個”といった数字だけでなく、どんな菌で、どんな機能があるのかを確認すること。発酵食品を選ぶときに、覚えておきたいポイントだ。

今日の食事からできる感染予防とは

 では、感染症予防に有効となる食事内容を、竹田先生に聞いてみた。

「朝なら卵やヨーグルト、昼は魚や肉、夜は豆腐や納豆など、食事ごとに何かひとつ、タンパク質を含む食材を加えましょう。そこに、野菜や海藻、きのこ、豆類などから食物繊維をプラス。腸内細菌のエサになるオリゴ糖を含む、大豆製品なども取り入れるとよいですね。そして、納豆やヨーグルト、キムチなどの発酵食品を組み合わせて、腸内環境にもアプローチすれば万全です」

 もちろん、食事だけで感染を完全に防げるわけではない。感染症予防の基本は、ワクチン接種が第一となり、そのほか手洗いやうがいなどの対策も欠かせない。さらに、十分な睡眠と適度な運動で、生活リズムを整えることも大切だ。

 ウイルスを寄せつけない対策と、ウイルスに負けない身体づくり。その両方を毎日の習慣にして、これからさらに本格化する感染症シーズンに備えたい。

教えてくれたのは
竹田和由先生 順天堂大学大学院医学研究科准教授。東北大学大学院歯学研究科博士課程修了。アメリカ留学後、新潟大学医学部医動物学講座助手、順天堂大学医学部免疫学講座講師などを経て現職。専門は免疫学(NK細胞、腫瘍免疫)。

<取材・文/池田純子>