日曜劇場『VIVANT』ロゴ(公式サイトより)

 10月18日に放送された堺雅人主演ドラマ『VIVANT』(TBS系)第21話。この回の終盤に登場した『別班儀礼曲』が、物語を飛び出す反響を呼んでいる。

 敵に捕らわれた別班員たちの奪還作戦。空港からの離陸を前に、堺演じる乃木憂助の別人格・Fが曲を流すよう指示すると、緊迫していた場面の空気が変わった。

放送からわずか2日後に演奏動画を公開

 仲間たちが感情をにじませる一方、その旋律はハッキングに成功した敵の本部にも響き渡る。帰還する者たちの誇りと、相手への勝利宣言が重なる演出だった。

「今回の儀礼曲を手がけたのは、TBS系のドラマ『砂の器』やNHK大河ドラマ『風林火山』の音楽でも知られる千住明さんです。歌唱に参加したソプラノ歌手の中野亜維里さんも、自身のブログで《千住明先生の指揮にのせて、一音一音に魂を込めて歌った》と明かしています。

 架空の組織のための一曲にも、本格的な音作りが貫かれていたわけです。現実でも、儀式や式典で音楽を演奏する文化は、自衛隊や警察、消防などにあります。今回の場面では、その音楽が持つ厳粛さを別班という組織の描写に生かしていました」(スポーツ紙記者)

 放送後、Xには、曲に胸を打たれたという声が寄せられた。

《別班じゃないのに泣けるんだけど》
《別班の魂を思い出させてくれる素晴らしい曲でした》

 反響は、現実の演奏者にも広がった。放送からわずか2日後の20日夜、大阪桐蔭高校吹奏楽部による演奏動画が、同部OB会の公式YouTubeで公開された。楽器の演奏に合唱も加わり、ドラマの余韻に浸る視聴者を楽しませている。

 この素早い対応に、Xでは《吹奏楽の名門、大阪桐蔭スゲー》《別班くらい仕事ができる》と、演奏の実力に加え、“任務遂行”さながらの対応の速さにも称賛が集まった。

「全国大会で実績を重ねる強豪校とはいえ、注目場面をすぐに演奏として届ける対応力は鮮やかです。『VIVANT』は謎や伏線の考察が盛り上がる作品ですが、今回は音楽が新たな話題を生みました。放送の余韻が残るうちに演奏動画が公開されたことで、視聴者は別班員たちの表情やセリフを思い出し、次の放送まで作品を楽しめます。

 さらに、吹奏楽をきっかけにドラマへ関心を持つ人にも届く可能性があります。劇中では秘密部隊の結束を象徴する曲が、現実では作品の入口になり、その広がりは登場人物やストーリーだけでは測れないドラマの強みでしょう」(前出・スポーツ紙記者)

 画面の中で別班員たちを奮い立たせた旋律が、現実の演奏者や視聴者にも届いている。“秘密部隊のテーマ”は、もはや秘密にはしておけないようだ。