10月17日、初めて鳥取を訪問された愛子さま

 天皇、皇后両陛下の長女、愛子さまは10月17日から3日間、防災推進国民大会への出席のため、鳥取県を訪問された。

「初めて鳥取へ来た愛子さまをひと目見ようと空港には約1000人もの人々が出迎えました。昨年から『ぼうさいこくたい』に出席されている愛子さまですが、今回は、初日に“女性の視点を生かした”セッション、2日目は“鳥取県中部地震からの復興”に関するセッションを聴講されました」(皇室担当記者)

愛子さまは「全神経を集中させました」と感想をおっしゃった

 聴講以外の時間にも精力的に各所に足を運ばれ、初日には社会福祉法人「和」が運営する、地域で障がい者の就労・生活支援を行う「もなみ」を訪問。同法人の理事長・八渡和仁さんは、愛子さまをお出迎えした際の印象をこう語る。

「最初、私は緊張していたのですがニコリと笑って話を聞いてくださったので、ほんわかした雰囲気になりました。『もなみ』という名前について“実はフランス語で『モンアミ』つまりマイフレンドのことです”と説明をした際には“素敵ですね”と温かい言葉をかけてくださいました」

 そんな和やかな笑顔が一変する瞬間があったという。

「活動の一環である銭太鼓のサークルを見ていただきました。実際に愛子さまにも銭太鼓の竹筒を回していただいたのですが、その瞬間だけ笑顔が消え、ものすごく真剣なお顔になられたんです。“全神経を集中させました”と感想をいただき、銭太鼓を通して心を通わせることができて、本当によかったなと思います」(八渡さん、以下同)

 翌18日には「和」が手がける障がいのある人たちが食事を提供する食事処「夢倉」に足を運ばれた。

愛子さまは、はこた人形をお持ち帰りになられた

「愛子さまには障がいのある方々が働く豆腐料理のお店でお昼ごはんを召し上がっていただきました。普段はホテルなどで食事をとられるイメージがあったので、おいでいただけると決まったときは非常に驚きました。当日は施設で栽培・加工した自慢の手作り豆腐や、地元産のサーモンにわさびを添えたものなどを召し上がっていただき、デザートには自家製豆乳入りのソフトクリームをお出ししました。事前に“お食事楽しみにしています”とおっしゃってくださり、完食されたと知ったときは職員一同“やったー!”と大喜びでした。食後にも“大変美味しくいただきました”とのお言葉をちょうだいしました」

10月18日、はこた人形の絵付け体験では、眉の出来具合を気にされる場面もあった愛子さま

 さらに建物内にある「はこた人形工房」では、伝統工芸の絵付け体験もされた。

「扉から入ってこられた瞬間の第一印象は、ものすごく笑顔が素敵な方で、満面の笑みにすっかり魅了されてしまいました」

 と話すのは、倉吉はこた人形保存会の牧田能裕理事。

「人形の顔は、描いた本人に似るといわれています。かわいらしい顔を描こうとされる方が多いのですが、愛子さまが描かれた顔はとても気品があり、愛子さまにそっくりでした」(牧田さん、以下同)

 前職の退職後に偶然、新聞で見た後継者募集の求人をきっかけにこの道に入ったという牧田さん。

「製作者は私と師匠の2人だけなので、今、後継者を募集している話をさせていただきました。愛子さまの絵付けがあまりにお上手だったので、同席した知事が“(愛子さまが)後継者になられてはいかがですか”という冗談を飛ばされ、愛子さまも笑われて一気に場が和みました」

 子どもの病気やケガの身代わりをするお守りが起源だという「はこた人形」。現在は無病息災を願う縁起物として親しまれている。

「愛子さまは“大事にさせていただきます”とおっしゃり、完成した人形をお持ち帰りになられました。周囲の方から“12月の愛子さまの誕生日に公開されるかもしれない”という話も出ていたので、私たちも楽しみにしているんです」

日本赤十字社本社のに勤務されている愛子さまの視点

 地方の文化や福祉の現場に温かく寄り添われる一方、ライフワークである「防災」の現場ではひときわ真剣な眼差しを向けられていた。最終日、'23年の台風で甚大な被害を受けた鳥取市佐治町を視察された。現地の復興状況を説明した鳥取県土整備事務所の米田憲司所長は、愛子さまの事前の準備に感銘を受けたという。

10月19日、佐治町の台風の被害や復興の状況についての展示を腰をかがめて熱心に眺められた

「非常によく勉強されていて、集落が孤立した状況もすでにご存じで、“何よりも道が大切ですね”とおっしゃっていました。地元の災害記録誌があることも把握されていましたね。避難方法や情報伝達など、住民と対話を重ねながら進める復興への取り組みを熱心に聞いていただきました」(米田さん)

 日頃は日本赤十字社本社の青少年・ボランティア課に勤務されている愛子さま。その防災への熱意を感じ取ったのは米田所長だけではない。台風の際に隣町と手を取り合って支援活動を展開した佐治町赤十字奉仕団委員長の小谷竜子さんも、愛子さまの真摯な姿勢に胸を打たれたという。

「佐治町が被災したのが'23年8月でした。町内が断水して、電話も不通となる中、約10キロ離れた隣町の奉仕団の方が状況を見に駆けつけて、町を超えた協力体制が実現しました。日本赤十字社本社からも“例を見ない素晴らしい連携”と高く評価され、日赤の新聞にも取り上げていただきました」(小谷さん、以下同)

 住民同士が助け合った、現場の歩みに愛子さまは深く共感されたという。

「愛子さまには“普段からのリーダーシップが生かされたんですね”と労いの言葉をいただき感激しました。防災や被災地への関心や、思いの強さは並々ならぬものを感じましたね」
 限られた時間の中で当時の活動を説明する緊張をほぐしたのは、皆が口をそろえる愛子さまの笑顔だった。

「直前は足が震え、宙に浮いてしまうんじゃないかというほどの緊張を初めて経験しました。でも、愛子さまのあの温かい笑顔を目の前にした瞬間、すーっと肩の力が抜けたんです」

 人々の心に寄り添う“愛され笑顔”と、被災地に注がれた日赤職員としての真摯な眼差し。鳥取で愛子さまが見せた誠実な素顔は、出会った人々の心を強く揺さぶった。