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「ラーメンはカロリーが高くて塩分も多いから、健康やダイエットの敵!」。そう思って大好きなラーメンを我慢してきた人、必見! 「その考え方こそが、あなたを老けさせ、寿命を縮める原因です」と語るのは、高齢者専門の精神科医として多くの患者を診てきた和田秀樹先生。50代からの女性がいつまでも若々しく元気に生きるヒントは、世間の“健康常識”をアップデートすること。ラーメンがもたらす幸せと健康効果について、独自の視点を持つ和田先生に伺った。

日本人は栄養不足?低栄養が老化を招く

「実は、今の日本人は食べすぎよりも、栄養不足の人のほうが圧倒的に多いんです」(和田先生、以下同)

 現在の成人女性の平均摂取カロリーは1700kcal程度と低く、これは深刻な食糧難だった終戦直後と同水準なのだという。

「若いころなら『やせていて綺麗』で済むかもしれませんが、50代や60代になって栄養不足が続くと、肌はシワシワ、髪の毛はスカスカ、骨密度が低下して骨粗しょう症を招き、腰が曲がる原因にもなります。わざわざ自分から、老けた見た目をつくりにいっているようなものなのです」

 さらに、ヘルシー志向であっさりしたものばかり食べていると、必須ミネラルである亜鉛やセレンなどの栄養素も不足しがちに。和田先生のもとを訪れたある女性患者は、10年以上うつ病に苦しんでいたが、検査で亜鉛不足が判明。亜鉛を補ったところ、長年のうつ病が劇的に改善したという。

「こうした『足りない害』こそ恐ろしいのに、日本の医師や管理栄養士は『カロリーや油を減らせ』と“引く指導”ばかり。栄養が不足する危険性を教えてくれないのです」

実は20種類以上の栄養を含むバランス食

 健康やダイエットを意識して、「お昼はざるそばであっさりと済ませよう」とする女性も多いだろう。しかし、和田先生によれば、それこそが老化を進める罠なのだという。

「例えばざるそばの材料は、そば粉、小麦粉、だし、しょうゆ、ネギ、のりなど6種類程度。これでは栄養もカロリーも圧倒的に不足します。一方、現代のラーメンは違います。スープだけでも豚骨や鶏ガラ、魚介、野菜など10~15種類以上の食材が煮込まれているものが多い。そこに麺やチャーシュー、煮卵、ほうれん草、メンマ、ネギといったトッピングを加えれば、1食で20種類以上の栄養素を一度に摂取することも可能です。スープには食材から溶け出したカルシウムなどの必須ミネラルも豊富に含まれていて、優れた栄養バランス食の一面もあります」

 巷には「〇〇だけ食べれば健康になる」といった極端な健康法があふれているが、それに惑わされて偏った食事になるくらいなら、一杯でさまざまな食材の栄養をとれるラーメンのほうが、健康のためには理にかなっているという。

「でも、ラーメンは塩分が多いから血圧が上がるのでは……」と心配する声も聞こえてくるが、和田先生は「日本の塩分制限は健康な一般の人には厳しすぎる」と一蹴する。

ラーメンには栄養素がたっぷり

「世界最高峰の医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に掲載された大規模型調査(17か国・約10万人対象)によると、最も死亡率が低かったのは、1日の食塩摂取量が10~15gの人たちでした。そして、塩分摂取量がそれより少なすぎる人のほうが、とりすぎている人よりも急激に死亡率が高くなるという結果が出ています。厚生労働省が目安にする1日7・5g(女性6・5g)未満という数字は、むしろ食欲不振や熱中症のリスクを高め、免疫力の低下や意識障害を引き起こす危険性すらあると私は考えています」

 ラーメンを敬遠する人の中にはコレステロールや脂質を理由にする人も多い。

「これらを悪者扱いして極端に避けるのも、実は逆効果です。コレステロールは細胞膜やホルモンの材料になる大切な栄養素。不足すると女性ホルモンが減って骨粗しょう症を招き、腰が曲がって老け込む原因にもなります。さらに、適度なコレステロール値を保つほうが、免疫力が維持され、日本人の死因第1位であるがんの予防にもつながるという考えもあります」

 がんを防ぐ観点からも、コレステロール値を無理に下げすぎず、免疫力をしっかり維持することが大切なようだ。

「塩分や脂質を我慢してストレスをため込み、免疫力を落とすことこそが、がんのリスクを跳ね上げる原因になると思いますよ」

和田先生も実践!賢いラーメンの食べ方

 では、ラーメンをより健康的に、おいしく食べるためにはどうすればいいのか、和田先生が推奨する具体的なポイントを教えてもらった。

「まず、栄養価を高めるため、チャーシューや卵、野菜などのトッピングはできる限り追加しましょう。麺も卵が練り込まれた卵麺を選ぶと、さらにタンパク質を補強できます」

 食べ順にも大きなポイントがある。

「いきなり炭水化物である麺からすすると、血糖値が急上昇して血管にダメージを与えます。まずはトッピング、スープ、またはサイドメニューの餃子から食べるのが鉄則です」

 カロリーを気にする女性も多いが、前述したように、多くの日本人はむしろ栄養不足の傾向にある。

「ラーメン1杯のカロリーは700~900kcal程度。朝食を軽めに済ませがちな現代人は、昼食でしっかり1000kcal近くとるくらいがちょうど良いエネルギー補給になるはずです。ラーメンを食べるうえで大切なのは、極端に避けたり、無制限に食べたりするのではなく、自分の体調を考え、信頼のおけるデータで本当に必要な栄養の数値を知り、上手にとることなのです」

 そして何より、食べたいものをおいしく食べるという心の充足が、免疫力を高めてくれる。

「おいしいものを食べて『幸せだな』と感じているとき、体内では免疫機能が高まります。罪悪感を持ちながら食べたり、味気ない精進料理のような食事を続けても、人生の楽しみが奪われて老け込むだけ。もちろん食べすぎはいけませんが、低栄養になりがちな世代だからこそ、好きなものをおいしく食べることが、元気に長生きするヒケツになります」

※重症の腎機能障害や重症の心不全、重症高血圧などで塩分、水分、カリウム制限の治療を受けている場合、また健康に不安がある場合は、必ず主治医に相談してください

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和田秀樹先生 精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローなどを経て、「和田秀樹こころと体のクリニック」院長を務める。近著に『ラーメンと健康』(KADOKAWA)。
教えてくれたのは…和田秀樹先生 精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローなどを経て、「和田秀樹こころと体のクリニック」院長を務める。近著に『ラーメンと健康』(KADOKAWA)。

取材・文/荒木睦美