2026年10月15日に会見を開いた横浜高校・織田翔希投手 写真/共同通信社

 メジャーリーグ挑戦を表明している横浜高校・織田翔希投手の移籍先に、ロサンゼルス・ドジャースが浮上したことを現地複数メディアが報じている。先日のプロ野球「ドラフト会議」で“強行指名”した読売ジャイアンツにとって、最大のライバルになりそうだ。

「最終目標は世界一のピッチャー」を公言する織田投手にとって、2025年までワールドシリーズ3連覇を達成したドジャースが争奪戦で有利に思える。というのもエース・山本由伸投手をはじめ、“二刀流”大谷翔平投手、若くして渡米した佐々木朗希投手ら日本人選手は、異国の地で挑戦する18歳にとって心強い味方になるだろう。

 またブレイク・スネル投手やタリク・スクバル投手らサイ・ヤング賞を獲得した、MLBを代表する大物投手も在籍しており“お手本”に事欠かない。そんな“ドリームチーム”に野球少年が憧れないはずもない。織田投手が自身のインスタグラムで唯一、国内外のプロチームでフォローしているのがドジャースだ。

 そして驚愕の契約金も報じられた。プロ野球における新人選手の契約金は1億円、出来高払い5000万円を上限としているが、2025年に桐朋高校からオークランド・アスレチックスに入団した森井翔太郎投手は契約金150万ドル(当時のレートで約2億3300万円)を手にしている。

 織田投手には、さらに上回る300万ドルから500万ドル(4億7000万円から7億8000万円)が用意されるとも。もちろん「お金よりも夢」なのだろうが、MLBで一線級の活躍ができれば年間で数億円、数十億円を稼げる世界だけに、プロ野球では到底太刀打ちできない金額だ。

松井監督による“逆転ホームラン”

 片や巨人にとって強みになるのが、新監督に就任した松井秀喜氏。巨人で圧倒的な成績を残してニューヨーク・ヤンキースに移籍。2009年には日本人初のワールドシリーズMVPに選出されたレジェンドで、それ以上に“人間性”が高く評価され、ニューヨークでは元キャプテンのデレク・ジーター氏と並んで評される。

 今後は松井監督による訪問、面会も予想されるが、織田投手がその人柄に絆される可能性も十分にある。10月15日の会見で、「小さい頃はNPBにもすごく夢を持っていましたし、NPBを通った方がメリットの方が多いことがあるかもしれません」とも話したように、巨人側も誠意をもって交渉を重ねれば“逆転ホームラン”もあり得る。

「ただ織田投手ら若い選手にとって、松井監督は“現実味のない遠い存在”に映るかもしれません」とは、MLB事情に詳しいスポーツライターの見解。

松坂大輔氏(2025年)

 というのも2008年生まれの織田投手。ちょうど松井監督が一般人女性との結婚を発表したシーズンになるが、その4年後には現役引退。4歳の織田少年が“ゴジラ松井”のプレーに憧れたとは考えにくい。

「織田投手の物心ついた時にはダルビッシュ有や田中将大、そして前田健太や大谷翔平らNPBのエースたちがMLBで活躍。そしてプロを志し始めた年齢では、山本由伸という憧れでもあり、現実的な目標になる投手も海を渡っています。

 もちろん松井監督も“すごい選手だった”との認識はあるでしょうが、18歳にとっては現役メジャーリーガー、そして投手を間近で見たいのは当然。仮に今後、進路に影響を与えるレジェンドがいるとしたら、松坂大輔さんだと思いますね」(前出・スポーツライター、以下同)

「今だったら僕も悩んでいた」

 横浜高校エースとして1998年の春・夏の甲子園連覇に導き、日米通算170勝を挙げた「平成の怪物」こと松坂大輔氏。織田投手にとって偉大な先輩OBだ。

「今夏の甲子園でも母校を現地で見守った松坂さんは、沖縄尚学との試合後には織田投手と対面してエールを送っています。これまでもOB会の関係で、織田投手や後輩選手たちとも差し入れがてらの交友もあったのではないでしょうか。

 NPBとメジャーの経験、実績十分な松坂さんは、双方のメリットやデメリットを誰よりも熟知しているだけに、織田投手にとって頼りになる存在なのは間違いないところ。それこそ“進路相談”を受けている可能性はありますよ」

 その松坂氏、ドラフト前の10月19日に『報道ステーション』(テレビ朝日系)に出演。メジャー挑戦を表明していた後輩を「新たな道を作っていく、勇気ある決断」と評し、自身が高卒でプロ入りした当時とは「状況が全く異なる」と、“高卒即メジャー”進路の前例がなかったこと、ネットで現地情報が得られやすくなった利点を分析。その上で「道は険しい」としつつも、

「今だったら僕も悩んでいたんじゃないですかね」

 松坂自身も、今の時代であれば“高卒即メジャー”も選択肢になったことを明かした。

 野球人生における岐路を迎えた18歳。どんな進路になろうとも、最後は自身で後悔ない選択をしてほしい。