巨人選手らが練習で使う硬式球

 メジャーリーグ挑戦を表明していた、横浜高校・織田翔希投手を読売ジャイアンツがドラフト1位で“強行指名”するなど、話題性も高かった2026年の「ドラフト会議」。新人選手の入団と活躍に期待が高まるが、プロ野球の厳しさを知る時期でもある。

 10月30日までを期限とする「第2次戦力外通告期間」の真っ只中、横浜DeNAベイスターズとの日本シリーズに望む福岡ソフトバンクホークスは、2025年に読売ジャイアンツとのトレードで獲得した秋広優人選手を含む、6選手に戦力外を言い渡した。これで第1次を合わせて計18人が“一旦”、チーム契約を終了することになる。

 12球団で唯一、4軍制を取り入れる大所帯のソフトバンクだが、ドラフトでは支配下9人、育成15人の計24人を指名しただけに人員整理は不可欠。昨オフには計20人に通告しているだけに、30日までにはさらに増える可能性も。

 一方で支配下6人、育成5人の計11人を指名した巨人。同じく計15人を戦力外としているが、その中に2022年のドラフト1位・浅野翔吾選手の名前があったことに衝撃を受けた。11月に22歳を迎える“巨人の星”が、入団からわずか4年で肩を叩かれたのだ。

戦力外から「育成契約」を打診

「ただ浅野選手の場合は、8月の試合で右膝の半月板断裂によって戦列を離れ、手術を受けたのちにリハビリ生活を送っています。復帰には半年ほどかかる見込みとあって、2027年シーズンの春季キャンプ、開幕に間に合うかも微妙なところ。

 よって70人の支配下登録枠を空けるために、形式的に戦力外とした上で新たに“育成契約”を結ぶと思います。復帰後の復調ぶりを見つつ、再び支配下選手としてグラウンドに立たせる算段でしょう」

 プロ野球の契約事情に詳しいスポーツライターが解説するように、一様に「戦力外=クビ」というわけではない。一度は戦力外通告、自由契約となった後に球団から育成契約を打診されるケースも少なくはなく、そこから再度、支配下登録を目指す選手も多い。

ドラフト会議に駆けつけた工藤公康監督が書いたメッセージ(中日ドラゴンズ公式YouTubeより)

 NPBによると、2025年には12球団で戦力外、現役引退となった選手は計169人で、その後に育成契約を結んだのは48人で、全体の約28%を占める。他には監督・コーチといった指導者になったのは3人で、球団職員やスタッフなどの裏方に転身したのは29人。そして自他チームで再び支配下契約を勝ち取ったのは10人と、戦力外や引退後に「NPB関係」の“仕事”に就いた選手は53%と全体の約半数。

 球団別で見るとパ・リーグでは14人の楽天イーグルス、セでは12人の巨人が最も多く、この数字だけで判断すれば選手の“再就職先”を用意してくれる“面倒見が良い”球団と言えよう。もちろん母数は異なるが、逆に最も少ない球団は千葉ロッテマリーンズ、広島東洋カープだった。

8人の選手の進路が「未定」「不明」

 ではNPB以外の再就職先はどこなのか。真っ先に思い当たるのが独立リーグで8人が入団しているが、古巣復帰もあるのだろう、社会人野球が18人、そして近年のトレンドとして海外チームへの移籍が17人と増加。その他にも野球解説者への転身も含めて、「野球関係」の仕事を選んだのは全体の約31%。「NPB関係」と合わせて約84%が戦力外、引退後も野球に携わっているようだ。

 その他、野球以外のセカンドキャリアとして一般企業への就職や自営業、起業の道を選択したのは17人。そして進路が「未定」「不明」の選手も、それぞれ5人、3人とされている。この8人は現在、どこで何をしているのだろうかーー。

「プロ野球選手が引退後、監督やコーチの職に就けるのは一握りで、裏方仕事を用意してくれる“優良企業”も決して多くはありません。また2020年以降、ドラフト指名人数と反比例するように戦力外通告も増加傾向にあり、プロ在籍期間も6年〜7年と短く、平均年齢も27歳と見切られるのも早くなっています。

 今季、現役でプレーを続けた40歳以上の選手(引退選手を含む)はセ・パで8人のみ。多くの選手が20代、30代でプロ野球から離れ、現役生活よりも長く続くセカンドキャリアを探さなくてはならない。ドラフトでは計127人が指名されましたが、1人でも長くプロ野球の仕事を続けられるよう願うばかりですね」(前出・スポーツライター)

 プロ野球選手の”夢”を叶えた一方、選手たちは厳しい世界に足を踏み入れた現実も見ることになるのだろう。