『アキダイ』の秋葉弘道社長

 10月27日、東京都の練馬・杉並区などを中心に店舗を展開するスーパーマーケット『アキダイ』の秋葉弘道社長が衆議院の財務金融委員会に参考人として出席。飲食料品の消費税率を2年間限定で8%から1%に引き下げる法案をめぐり、スーパーの経営者として現場の実情を訴えた。

 ところが、その内容にはSNSで賛否が噴出。さらに、国会に臨んだ際の服装をめぐっても思わぬ反響が広がっている。

「減税の喜びは1か月もたない」現場からの訴えに賛否

 秋葉社長は冒頭、普段のエプロン姿ではなく着替えてきたことに触れ、「心して皆さんに私たち商人と、庶民の気持ちを伝えに来ました」と挨拶。

 意見陳述では、物価高で消費者の価格への関心が高まり、特売日の開店前に並ぶ客が以前の約100人から約200人に増えたと説明。そのうえで、食料品の消費税率が8%から1%になったとしても「7%下がった喜びは多分1か月もたないと思います」と持論を展開した。

 減税自体は消費者にとってありがたいものの、2年後に税率が8%に戻れば家計への打撃は大きいと主張する。また、税率変更のたびに値札や売り場のPOPを作り直す必要があり、人手不足に悩む小売店にとって負担になるとも指摘した。

「農家の生産コストを抑えるため、肥料や飼料、農機具などへの支援を充実させることも提案。単なる一時的な減税ではなく、食料品を安定して生産できる環境を整えるべきだと訴えました。

 ただ、この意見に対してSNSでは《減税に反対するスーパーの経営者初めて見た》《まだやってもないのに2年後の話するなよ》といった批判的な反応や減税の効果が長続きしないという見方に疑問を呈する声もあがっているのです」(全国紙社会部記者)

スーパーマーケット『アキダイ』の秋葉弘道社長(本人インスタグラムより)

 疑問の声の一方で、

《矢面にたって批判されることが目に見える中で発信してくれたことに敬意しかない》
《個人経営者は死活問題になるはおっしゃる通り》

 という現場の声を伝えた姿勢を評価する意見も。

「《過去に消費税を下げたことがない日本がおそらく初めて遭遇する混乱》と制度変更に伴う影響を懸念する声もあるように、秋葉社長の主張は、減税そのものを拒んでいるというより、税率を一時的に下げて元に戻すことの難しさを現場目線で説明したものです。

 消費者にとっては目先の負担が軽くなることが重要ですが、事業者にとっては制度変更に伴うコストも無視できません。どちらを重視するかによって、受け止め方が分かれるのも無理はありません」(前出・全国紙社会部記者)

「ワイシャツにネクタイも締めてこない」服装に飛び火

 こうした政策論争とは別に、SNSでは秋葉社長の服装にも注目が集まった。国会という場にふさわしい服装ではないと感じた人もいたようで、《こういう場に呼ばれてもワイシャツにネクタイも締めてこない人間がそもそも嫌い》などの声も。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は同日、自身のXで秋葉社長を参考人として招いたことを報告。《なお、いつものエプロン姿は前例がないという理由で与党から認められなかったそうです。さかなクンの帽子は認められたのに…》と明かした。

 実は、国会では2020年2月、魚類学者でタレントのさかなクンが、トレードマークのハコフグの帽子をかぶったまま参議院の調査会に参考人として出席した前例がある。

「当時、国会では原則として帽子の着用が認められていませんでしたが“品位や礼節を欠くものではない”と判断し、特例として着用が認められました。さかなクン自身も帽子について『皮膚の一部』と説明していました」(前出・全国紙社会部記者、以下同)

1992年、23歳で1店舗目をオープンした若かりし頃の秋葉社長。エプロンをしっかり身に着けている(アキダイ公式HPより)

 今回、秋葉社長のエプロン姿が認められなかったことについて、秋葉社長は国会に向かう前、普段と変わらない気持ちで話したいとエプロン姿での出席を希望したものの、認められなかったとしている。

「さかなクンのハコフグ帽は、本人のキャラクターと切り離せないものとして特例が認められました。一方、秋葉社長のエプロンには店名が入っているため、企業の宣伝と受け取られかねないという事情もあったのでしょう。

 ただ、毎日スーパーの現場に立つ秋葉社長にとって、エプロンは仕事着そのもの。普段の姿で庶民の声を届けたいという思いもある。服装への批判も出ましたが、ネクタイを締めているかどうかより、そこで何を語ったのかに注目したいところです」

 エプロン姿での出席はかなわなかった秋葉社長。国会では服装にも違いが出たが、現場から届けたかったのは、物価高に苦しむ消費者と、それを支える小売業者の切実な実情だったのではないだろうか。