川口春奈

 川口春奈主演の映画『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』(以下、『ママせか』)が、11月1日で推定34.3億円を突破し、織田裕二主演の話題作『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』(11月1日段階で推定34.2億円)を抜き、今年公開された邦画実写作品で3位となる大ヒットとなっている。

30億円超えは2019年公開の『翔んで埼玉』以来

 21歳の時にステージIVの大腸がんを宣告された遠藤和(のどか)さんが、22歳で結婚式を挙げた様子が『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』(日本テレビ系)の「結婚式の旅」のコーナーで放送され話題になった、同名のベストセラー手記を映画化。

 川口は過酷な闘病生活を送る役を演じるため、約2ヶ月で10キロの減量をしたことも話題になった。

 初週の興収は4億4100万円と好スタート。さらに日を追うごとにSNS上で「泣ける」と話題になり、2週連続でオープニング成績を上回り、公開3週目には週間ランキングで1位に返り咲いた。

 映画は公開初週がピークで、徐々に客足が減っていく……というのが一般的だけに、口コミで広がり大ヒットしている状況は、昨年社会現象を起こした『国宝』を彷彿とさせる。

 また同作が異例なのが、近年ヒット作に恵まれていない「東映」が配給している点だ。

「自社で運営する劇場を多く抱える東宝以外の作品は、客入りが悪ければ容赦無く打ち切られます。そんな中、自社の『踊る大捜査線』の上映回数を減らしてでも、『ママせか』の方を多く上映する東宝シネマズが目立つのは、それだけ“客を呼べる作品”という証拠ですよ」(映画ライター、以下同)

 東映といえば昨年公開された『宝島』は制作費25億円を投入したと噂される中、興収が7億円弱に終わるなど、話題作が軒並み苦戦。

 東映の邦画実写作品で興収が20億円を突破したのは、木村拓哉主演の『レジェンド&バタフライ』(24.7億円)、『翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて』(23.7億円)が公開された2023年が最後。30億円超えのヒットは2019年公開の『翔んで埼玉』以来、7年ぶりとなる。

「30億円を超える大ヒット作は『キングダム』シリーズのような迫力あるアクション映画だったり、『TOKYO MER』のような人気ドラマの劇場版が多い。しかし今年は興収46.6億円を記録した『ほどなく、お別れです』や同じく口コミで客足を伸ばしている『汝、星のごとく』など、泣けると話題の作品のヒットが多いのが特徴ですね」

 “涙活”が一般的になったとはいえ、泣ける作品がヒットしている理由を前出の映画ライターはこう分析する。

「以前は1クールに1作品ぐらいは、泣ける恋愛やヒューマン系ドラマが放送されていましたが、SNSが定着したことで視聴者の関心を保ち続けるために考察系作品が多く作られることも関係しているのでは。特に今年は泣ける系のドラマが少ないので、“泣きたい”層が映画館に足を運んでいるのでしょう」

 11月3日からは話題作『ゴジラ-0.0』が公開されるため、『ママせか』も上映回数が減少してしまうが、“ゴジラ旋風”の中どこまで興収を伸ばせるか注目だ。