11月2日、災害対応を担う司令塔として発足した「防災庁」。国民に対して備蓄などを求める緊急要請を発表したのだが、“自助”を訴える姿勢に批判の声が寄せられている。
発足日にいきなり“限界”を訴えた防災庁
防災庁は、南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの大規模災害に備え、国の防災政策を統括する「司令塔」として設置された組織。これまで各省庁が個別に担ってきた防災関連の業務を集約し、災害対応を強化することが目的とされている。
初代防災大臣に就任した細野豪志大臣は、会見で「国難級の大規模災害においても国民の生命、身体、財産を守り抜くため、災害対応の司令塔として我が国の防災体制を強化し、世界一の防災大国を目指すと致しました」と意気込みを語った。
しかし、その一方で飛び出したのが自助を求める発言だ。
「細野大臣は、“まず防災庁は国民の命を守るために全力を尽くします。ただ一方で、国民の皆さんの自助の部分というのは残るということをぜひご理解をいただきたい”と述べました。そのうえで、“事前防災徹底のための緊急要請”を実施したのです。新設官庁のトップが、就任早々に国民へ『自助』を訴えかけるのは異例の対応と言えます。また、防災庁は公式X(旧ツイッター)でも、《国難級の災害では、行政だけによる対応には限界があります》と投稿。それだけ切迫した危機感の表れとも受け取れますが、いきなり“限界”を訴えたのは、国民感情への配慮という点で唐突だった感は否めません」(全国紙政治部記者)
緊急要請では、住宅の耐震化や家具の固定、水・食料・携帯用トイレの備蓄、ハザードマップや避難経路の確認、非常持ち出し品の準備、防災訓練への参加を求めている。水や食料については最低3日分、できれば1週間分を備蓄するよう呼びかけた。
また、世間では細川大臣が発した驚きの発言にも注目が集まっている。
「細川大臣は会見で、“東日本大震災の時、頭の片隅で『万が一、この時に日本有事が起こったら』と考えた”と発言。“当時は日本に対する同情があった”“弱ってる日本を攻撃するってさすがにできないねという空気が世界の中にあった”としつつ、“あれからまもなく16年、世界は大きく変わった”“そこ(日本が災害に遭っているとき)は、むしろ突いてくる可能性が出てきてる”として、災害時に有事が発生する可能性に言及しました」(同・政治部記者)
“PR動画”にも批判の声
発足日から国民の自助を求め、有事の可能性にまで触れた細野防災相に対して、ネット上には「自助でなんとかしろというのは本当に無責任すぎますね」「1週間分備蓄したくてもこんなに家に置けないよ」「悲報 防災庁さん 設立日にいきなり自らの存在を否定してしまう」「残念ですが、現政権には力強く国民を守ろうという気持ちもないと感じました」「発足初日に……国民の役に立つ気はあるんだろうか……」「余計な不安を煽ってるだけ」などの批判的な声が多くあがった。
しかし、一方で「国行政だけに頼らず、私たちが出来ることの備えは最低限必要と思います」「災害にあった人すべてを即座に助けることは、どんな国でも無理でしょう。助けが届くまで、耐えなきゃいけないかもしれない。そのための呼びかけでしょ」「『自分で備えてください』と言うと、『なんで自分たちでやらないといけないんだ』と言い出す馬鹿が多いこと多いこと……」など、細野防災相の呼び掛けを支持する声も見受けられる。
なお、防災庁については、発足日に首相官邸がXに投稿した“PR動画”も反感を買っている。《国民の皆様の「命と暮らし」を、守り抜く。そのために、一切の妥協はしない。この覚悟の下、「世界一の防災大国」を目指し、力を尽くしてまいります》としてポストされたのは、高市早苗首相と細川大臣の様子が収められた、物々しい“BGM付き”の映像。これに対して、「今でもダンボール暮らしを続けている被災者を放置して何言ってるんですか?」「被災者を助けることよりもプロパガンダPVに税金を惜しみなく使い、不安を煽る発信」など、熊本震災の被災状況を鑑みて厳しい声が寄せられているのだ。
「批判を浴びた細野防災相ですが、翌日の11月3日にはさっそく熊本地震の被災地である熊本県八代市などを訪問しました。そこで“自治体の力の差が被災地や被災者に及ぶことがないよう、国としてもサポートしていかなければならない”と語っています。就任直後の週末に被災地へ足を運んだスピード感からは、現場主義を貫こうとする意欲が窺えます」(政治ジャーナリスト)
防災庁が真に国民の命を守る司令塔として機能するのか、今後の施策に注目が集まる。
