2027年シーズンのセ・リーグ開幕戦(3月26日、東京ドーム)で、読売ジャイアンツと中日ドラゴンズの対戦が決定した。松井秀喜監督と工藤公康監督による“新任監督”対決が早くも実現する中、中日ファンは「未完の大器」の開幕一軍を期待してーー。
11月2日に高知県でスタートした中日の秋季キャンプ。初日から積極的にグラウンド内外を駆け回ってはナイン、そしてコーチ陣にも熱血指導を施して“工藤イズム”を注入した工藤監督。
その高知キャンプとは“別班”となるナゴヤ球場での秋季練習で、気合の刈り上げ頭で汗を流しているのが根尾昂投手。2018年ドラフトで4球団競合の末に中日が1位指名で獲得した、高校生離れした野球センスから、誰もが将来を期待したスター候補だったが、未だ“未完”のまま。2027年4月には27歳を迎える。
今シーズンは主に中継ぎとして9試合に登板して1勝1敗、防御率5・00。投手転向して5年目にしてプロ初勝利を挙げたものの、本来なら“ドラ1”とは言え、他球団では戦力外通告にもなりかねない“崖っぷち”の状況に立たされている。
同学年・戸郷の年俸の22分の1
2026年の年俸も1050万円(推定、以下同)と、巨人・戸郷翔征投手(2億4000万円)、阪神タイガース・森下翔太選手(2億1000万)、北海道日本ハムファイターズ・万波中正選手(1億9500万円)ら、それぞれのチームの“顔”になった同学年の出世頭とも大きな差が。
それだけに入団以来、遊撃手に外野手、そして投手と適正ポジションや起用法を巡って監督やコーチ、フロントに振り回された根尾に「今年こそ」と祈るファンも多く、新監督の指導のもとで“覚醒”が期待されているわけだ。
そこで気になるのが、工藤監督が考える根尾の「適正」と「起用法」だ。
投手転向1年目の2022年、TBS系『サンデーモーニング』(5月22日放送)に出演した工藤監督は、試合でのピッチングを見た上で「立浪監督は(根尾の)いろんな可能性を引き出すために登板させたと思う」と、当時の立浪和義監督の起用法に一定の理解を示していた。
そして同じく出演者の上原浩治が「今すぐピッチャーは厳しい。(育成に)2、3年は必要」と、公式戦で早々に登板させたことに疑問が呈されると、
「二刀流」の可能性を引き出す
「大谷君が(メジャーリーグで二刀流を)やっているように、日本でも“二刀流”というのもあってはいいのかなと思う。彼はバッティングもいいし、150キロを投げていることを考えれば、その(二刀流の)可能性を大いに引き出すのは“アリ”かなと思います」
工藤監督は「バッティングがいい」と、この時は根尾の「打者」としての可能性を見出し、同年にロサンゼルス・エンゼルスで投手として15勝、打者として34本塁打で「二刀流」を体現した大谷翔平(現ロサンゼルス・ドジャース)の道を提示したのだった。
この“大谷翔平化”の評から5シーズン、打者として54打席に立って48打数10安打で、打率は.208と「投手としては打つ方」と言える成績。投手転向後も打撃練習では鋭い打球を連発する根尾は、打席に立った際には「打者として打線を繋げたい」と、試合に出た際には投打でチームに貢献できることを懸命にやろうとしている。
秋季キャンプ前にナゴヤ球場で顔を合わせた両名。根尾の直向きに練習に打ち込む姿に、工藤監督は来シーズンにどんな起用法を打ち出すのか。「大器晩成」に向けてファンの期待は尽きない。
