TBSの日曜劇場と比べて視聴率が苦戦しているとの声も出始めた日テレ『俺たちの箱根駅伝』。でも本当にその視聴率は低いのだろうか?
土曜21時枠のドラマは平均視聴率4~5%台
そもそもこの数年、土曜21時枠のドラマは平均4~5%台で推移している(『放送局占拠』5.1%、『パンダより恋が苦手な私たち』3.9%、『告白』4.8%など。いずれもビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)。
テレビには長年の視聴習慣があり、その時間帯には他局で人気バラエティもあり、話題作が来たからといって急に倍以上の視聴率が取れるほど簡単ではない。そんな中、第1話8.6%、第2話8.9%、第3話8.0%、第4話8,6%と推移している『俺たちの箱根駅伝』は近年の土ドラでは突出しており、十分に“箱根駅伝効果”を受けているといえよう。
とはいえ、内容的にはツッコミどころもある。
第1話は編成局長(高橋克典)が箱根の中継に人気タレントを入れてバラエティ色を出そうとし、現場の大泉洋らが苦悩する話だった。だが現実の箱根駅伝は、30年以上ずっと、20%台後半の視聴率をキープし続けているお化け番組で、そんなテコ入れの話が出るはずがない。それをわかっている長年の箱根ファンは画面にツッコミを入れたことだろう。
これは箱根駅伝のエンタメ化を否定する内容だが、そもそも箱根駅伝をドラマ化すること自体がエンタメ化なので、日テレは自らの首を絞めているといえなくもない。この内容を放送したからには、来年の箱根駅伝に大泉洋をゲスト出演させるのは難しい気がするが、どうだろう。
TBSの日曜劇場と激似
もう1点は、多くの視聴者が感じている通り、作風がTBSの日曜劇場と激似なこと。
原作が『半沢直樹』と同じ池井戸潤だから仕方ないところもあるが、会社組織の中で上層部や関係者に苦しめられながらも、難題を乗り越えていく社員たちの群像劇は日曜劇場の王道だし、物語の冒頭でナレーターがこれまでのあらすじをシリアスに説明する演出までそっくりで、日曜劇場に寄せているみたいだ。
そこまでするからには、日テレが日曜劇場クラスの10%を超える視聴率を狙っていて、まだ届いていないのも事実だろう。
だが、箱根駅伝界隈で繰り広げられる人間模様は見応えがある。中継には80か所以上カメラを設置し、局員たちが事前に箱根山中の中継ポイントを下見していることなど、豆知識も楽しい。視聴率も落ちていないので、最大で箱根駅伝の視聴率(20%台後半)だけパイがあるとすれば、10%超えは決して無理な数字とは思えない。
日曜劇場は異色作の『VIVANT』を2クール連続放送中で、“名もなき市民たちの職場ドラマ”に飢えている視聴者が『俺たちの箱根駅伝』に流れてくる可能性は十分にある。
では今後、視聴率上昇のカギとなるのは何か?
4話まで見てきて感じるのは、社員たちの奮闘が十分面白い「テレビ局パート」に対して、学生連合を描く「選手パート」が、若干印象が薄いということだ。
箱根駅伝ファンにとって、知らなかった中継の舞台裏を見られることは非常に面白い。それに対して選手たちの苦悩や葛藤は、実際の箱根駅伝を見ていてもある程度想像できることで、それを超える内容はまだ出てきていないように見える。
今後選手パートの盛り上がりで、正月の箱根駅伝本番が近づくにつれて、さらに視聴率が上がっていくことを期待したい。
