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年金ってそもそも本当にもらえるの? 今回は年金にまつわる数えきれないほどの"ハテナ"を20代の若手社会人がお勉強! 年金のギモンを一気に解決しましょう。年金問題に詳しい学習院大学の鈴木亘教授にお話を伺いました

 

年金制度が危機的状況にある原因は?

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「ズバリ、少子高齢化が最大の原因。15歳から64歳までの"生産年齢人口"が減って、逆に高齢者の数は急増しているからです」

と学習院大学経済学部の鈴木教授。1970年代は現役世代10人で1人の高齢者を支える社会だった。ところが2015年、現役2.5人に対し1人の高齢者という比率に。5年後には2対1に下がる見通しだ。

「日本の少子高齢化のスピードは世界最速で、世界史史上で見ても最速。2040年になると、ついに現役1.5人で1人の高齢者を支えるようになります」

 膨大な数のお年寄りを、それよりもずっと少ない現役世代で支えられるわけがない。政府は、男性の育休取得率を80%にするなどの目標を掲げているけれど、

「女性たちがどんどん子どもを産むようになっても、子どもが育つまでには時間がかかります。車じゃないけれど、少子化は急には止まれません。若者によって老人を支える制度である限り、増え続ける負担からは免れようがないのです」

若者たちは年金を本当にもらえるの?

 いまの10代・20代は無事に”年金生活”を送ることができるの!?

「年金はいつまでもらえるのか。それは世の中の景気次第。よくなるのであればまだもらえますし、悪くなっていくのであれば、もらえなくなる可能性が高い」(鈴木教授、以下同)

 アベノミクスで株価は上昇、今月10日に約15年ぶりとなる2万円を記録したことは記憶に新しい。倒産件数も、昨年は24年ぶりに1万件を割った。景気は上向いているように見えるものの、値上げラッシュに増税で、庶民の台所事情は依然として厳しい。何より、未来に至るまで今の景気が続くとも思えない……。

「若者の人数が減ることを踏まえれば、この先、日本経済は低成長が常態化します。まだ積立方式の時代に貯めた"年金積立金"があるので10年ぐらいは大丈夫でしょうが、20年や30年先までもつか……。かなりあやしいと思います」

 


鈴木亘教授:経済学博士、学習院大学経済学部教授。年金をはじめ社会保障分野のエキスパート。『社会保障亡国論』(講談社現代新書)ほか著書多数