と話すのは、ニオイの第一人者、五味常明先生(五味クリニック院長)。ニオイのもとは、汗と皮脂。この2つが一緒になって、体臭となるのだそう。最近、自分のニオイが気になる女性は、下記の原因と対策を参考に、生活を見直してみて!
■原因1 女性ホルモンが低下すると加齢臭が発生
女性ホルモンにはニオイを抑える働きがある。そして女性ホルモンはだいたい40代ごろから減っていき、逆に更年期を境に、男性ホルモンが70~80代ごろまで増え続ける。さらに、女性ホルモンが減ると、活性酸素が増え、皮脂が酸化し、加齢臭のもとであるノネナールが発生。「ですので、女性にも加齢臭があるだけでなく、男性は年々減っていくのに女性は年を重ねても加齢臭がするんです」(五味先生・以下同)。
■原因2 更年期のホットフラッシュと汗腺の退化
更年期には顔がほてって汗が噴き出す「ホットフラッシュ」という現象が起きやすくなる。「更年期で出る汗は、濃度が高くて蒸発しにくく、アンモニアなどのニオイ物質が多く含まれているので、汗そのものがニオイます」。また、長年エアコンの中にいて、暑さ・寒さを感じないことから汗腺が退化し、正しく汗がかけなくなっていることも、ニオイの原因となる。
■原因3 ストレスや疲労もニオイのもと
男性並みに働く女性が増えてきたことで、疲れやストレスからくるニオイ、「疲労臭」に悩む女性が増えてきている。「疲れが蓄積すると、肝臓がうまく機能せず、体内で作られたアンモニアが尿として排泄されずに体内にたまり、汗として出るために、ニオうんです」。肝臓機能の低下の原因は、過度な労働や加齢による疲労の蓄積、ストレスによる免疫力の低下、飲酒などが考えられる。
■原因4 加齢臭より強烈なミドル脂臭
主に後頭部から首の後ろに発生するのが「ミドル脂臭」。男性特有のニオイだと思われがちだが、実は女性も発していて、たとえるなら廃油のようなニオイ。だいたい30~40代半ばで強さのピークを迎える。「ジアセチルという原因物質が、強い不快なニオイの源。汗に含まれる乳酸がジアセチルを作ります。乳酸を少なくするには、血行をよくすることがカギとなります」
※次ページで対策編をご紹介します。
■対策1 働く汗腺を増やす
「汗とは本来、無臭で皮膚の雑菌や垢などが反応してニオってしまうんです。しかし汗腺の機能が低下すると、汗の濃度が高くなり、重炭酸イオンや尿素などが含まれる“ニオう汗”となります」。汗腺の機能を高めるには入浴がいちばん。下図のように酢を入れた風呂で手足を温める汗腺トレーニングや、有酸素運動で血行をよくして、質のよい汗をかくようにするのが◎。
(1)浴槽に43~44度のお湯を、1/3~1/4の高さに張る
(2)バスチェアを置いて座り、前かがみになってひざ下・ひじ下を10~15分つける
(3)毎日続けるうちに、手足だけでなく、全身の休眠していた汗腺が活発に働くように!
■対策2 食事でカラダの内側から改善
皮膚の出口が詰まると、汗腺の中にある皮脂腺で活性酸素が発生し、過酸化皮膚の発生の原因となる。これは皮脂を酸化させ、脂肪酸やアルデヒドのような体臭成分を生む。「皮膚の酸化を抑える抗酸化作用のある食物は、ビタミンC(イチゴ、ゆず)、ビタミンE(うなぎ、アーモンド)、カテキン(緑茶)、ポリフェノール(赤ワイン)、イソフラボン(豆乳)などが有効です」
⇒疲労臭を抑える食材
疲労臭は、肝臓の機能低下により発生するので、肝機能を高めるためには、オルニチンやクエン酸を含む食材をとると軽減につながる。オルニチンはしじみ、クエン酸は梅干しやレモン、お酢などに多く含まれる。「食事と同時に、疲れやストレスをためこまず、適度な睡眠、飲酒を心がけてください」
■対策3 消臭グッズの正しい使い方
消臭剤は殺菌剤が入っているので、使いすぎると常在菌まで殺してしまいす。また、制汗剤を背中や胸、腕や首すじに使うと、必要な汗をかけず熱中症の原因に。わきや足だけに使ってください。
(取材・文/中尾巴 イラスト/柏屋コッコ)
〈お話を伺った先生〉
五味クリニック院長・五味常明先生 ●昭和大学医学部卒業。昭和大学形成外科などで形成外科学、多摩病院精神科などで精神医学を専攻。医学博士。体臭多汗研究所設立。著書に『気になる口臭・体臭・加齢臭』などがある。