1014_ダディ

「ほんとに全部燃えちゃいました。何も残っていません。あと30秒、いや、10秒遅れたら危なかった!」

 興奮冷めやらぬ口調で本誌にそのときの様子を語るのは“ビッグダディ”こと林下清志さん。10月5日の早朝、岩手県盛岡市にあるダディの自宅兼店舗の接骨院『ほねつぎ盛岡屋』が全焼。出火当時、自宅にはダディと長男と次男、それに知人の4人が寝ていたというが、全員無事だった。

 燃え上がる炎にまったく歯が立たず、火の勢いは増すばかり。身の危険を感じた彼は翻して外に出ようとしたが、充満してきた煙を思いっきり吸い込んでしまい、

「1度目は大丈夫だったんですが、2度目に吸ってしまったときに身体が動かなくなってしまい、玄関までわずか1メートルくらいのところで倒れそうになりました。これはまずいと思い、力をふりしぼって、玄関から転げ出るようにして脱出しました」

 ダディが外に出て、間もなく家は大きな炎に包まれたという。家は外枠だけを残してほぼ全焼。無一文になり、かろうじて靴は持って出たが、衣服も持ち出すことができず、部屋着で放り出された格好で下半身はパンツ一丁。

「この時期の盛岡はさすがに寒いので、どうしようと困っていたら、近所の人が衣服を、次男のバイト先の方が現金と服を持ってきてくれて、マネジャーもお金を貸してくれたので、本当に助かりました」