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 家賃未払いのため立ち退きを求めて争われていた、演歌歌手・畠山みどりの裁判。畠山は勝利したが、『弁護士法人・響』代表の西川研一弁護士は、

「世間一般の常識とは、ちょっと異なった判断を裁判所はしたといってもいい」

 と法律の専門家から見ても、今回の判決は異例のものと映ったようだ。

 となると、原告側が控訴することも十分に考えられる。そうなれば、畠山はまだまだ裁判が続くこととなるが……。

「それ以上に深刻なのは、今回の裁判に勝っても畠山さんの借金はなくなっていないということですよ。賃貸契約でも、融資契約でも、要するに3億円をA社に返さなくてはならないことは変わらない。ただ、今の畠山さんでは、36億円を返したときのようにオファーがあるとは思えない。ですが、彼女は莫大な借金を返済したという成功体験があるからか、歌がヒットすれば簡単に返せると思っているんですよ」(芸能プロ関係者)

 今回の裁判は契約の趣旨が争点になっただけ。改めて言うが、裁判に勝ったからといって、借金がチャラになったわけではない。

 では、畠山が今後、A社への支払いが滞った場合、どのような事態が待ち受けているのだろうか。

「今回の裁判でも、畠山さん側に3億円強の債務を支払う必要があったことは認定されています。そうすると、今回の判決に基づけば、原告側からあらためて返済の期限が設定され、それまでに借金が返済できない場合などには、譲渡担保権が実行されることになります。  そうなると、畠山さんは担保とされている自宅から出ていかなくてはならなくなるでしょう」(『弁護士法人・響』西川研一弁護士)

 依然、畠山が自宅を失う危機状況であることに変わりはない。借金地獄はまだまだ続いているのだ。

 そこで、判決が出た6月4日、夫の運転する車で自宅から出てきた畠山を直撃取材した。

――今回の裁判は畠山さんの勝訴となりましたが?

「はい、主張が通ってよかったと思います」

――それでも、A社への借金が残っているわけですよね?

「明日、会見をしますので、今日はすみません」

 勝訴した余裕からか、笑顔でそう言い残すと、車で走り去ってしまった。しかし、翌日に会見が行われることはなく、かわりに所属レコード会社を通じてコメントを発表した。

《家を担保にしてお借りしておりますお金は、一生懸命働いて、きちんと返済させていただきます》

 だが、今年2月の証人尋問で、畠山の夫は法廷でこう話している。

「お金を貸してくれる人を今も探しています……」