「京都にあるファンキーな仏像が話題になっているから、さっそく取材してきて」

 デスクからそんな指令を受けた仏像好き記者。ファンキーって何……。疑心暗鬼になりながら、足を運んだのは京都・左京区にある『くろ谷 金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)』。1175年に建立された、由緒正しい浄土宗大本山のひとつだが……。

 え! これは何!? どう見てもアフロヘアじゃないですか?

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アフロ石仏……正式には五劫思惟阿弥陀仏像

「そう言われてますね(苦笑)。こちらの仏さまは長い時間修行をされ、そのために螺髪(らはつ=仏像の丸まった髪の毛のこと。知恵の象徴で仏像によってその数は異なる)が伸びてこうなったんです。正式名称は五劫思惟阿弥陀仏像(ごこう・しい・あみだぶつ・ぞう)といいます」

 と話すのは、筆頭執事・橋本周現さん。

 “劫(こう)”とはとてつもなく長い時間を表す単位。それが5つも重なるほどの時間、修行しているのだ。この仏さまの像を持つお寺はほかにもあるけど、秘仏になっていたりして、こちらのように見られるようになっているお寺は珍しいのだそう。

 でも、アフロなんて言われるのはちょっと心外ですよね、橋本さん?

「まあ、仏教に興味を持っていただく入り口になるならいいと思います(笑い)。そこから、見るだけではなく拝んでいただければ」

 見た目がファンキーなだけではなく、とんでもない修行をしている仏さま。そんなことを知ってから拝観しに行けば、きっと見る目が変わりますよ!


所在地/『浄土宗大本山 くろ谷 金戒光明寺』(京都市左京区黒谷町121)。法然上人が比叡山の黒谷を下り、初めて草庵を結んだ地だという。