中東の過激派組織「イスラム国(ISIL)」による邦人人質事件を受け、世論で高い関心を集めている“自己責任”問題。なんだか言葉だけがひとり歩きしている印象も。

 インターネット上では、有名文化人までもが「迷惑をかけたお前たちが悪い!」とばかりに激高。まずは無事を祈るべきだと思うが……。

「自己責任だからすべてその選択をした本人の責任、あまつさえ“死んでも仕方ない”といった論調は、ちょっと短絡的すぎる危険な考えだと思う」(40代・女性)

「そもそも自己責任の反対語って何!? 責任転嫁? 連帯責任? 社会保障? なんだか自己責任という言葉に振り回されていて、単なる感情論になっている気がする」(30代・女性)

「この前、自転車を盗まれました。カギをしめ忘れた僕にも落ち度がありますが、友人から“防犯意識がないからだよ、バカ”と責められた……。盗んだやつが一番悪いに決まっているはず。僕は被害者なのに、なぜ責められなければならないの?」(30代・男性)

 確かに人質問題でも、イスラム国を避難する声よりも外務省の勧告を差しおいて紛争地帯に入国してしまったふたりへの非難が目立った。

「日本政府が渡航を禁じるシリアに入国するということは、台風の最中に防波堤の先端に向かって歩いていくようなもの。こういう状況下で“台風が悪い!”という人っています?」(50代・女性)

 昨今はフランスをはじめ、海外でも自己責任論が取りざたされることが増えているとか。とはいえ、メディアを巻き込み、ここまで国民の間で「自己責任、是か非か!?」と問われているのは珍しいようで。

「日本人は切腹しかり、本来自己犠牲の精神が強い民族。他人に迷惑をかけようものなら、自分で尻ぬぐいしろという風潮がどこかにある。日本人の精神性と直結する議題であり、考えるよい機会だと思う」(50代・男性)

「シングルマザーも、生活保護も、頭が悪いのも全部自己責任? 人質問題を機に、さまざまなケースに対して自己責任で片づけようとする人が増えそうで怖い。世知辛い世の中ですね」(40代・女性)

「責任のなすり付け合いという状況は、結局のところ認識が合わないってこと。自己責任も人によって認識がバラバラなのが問題を根深くしている。いっそのこと“こういうケース以上は自己責任です”といったわかりやすい線引きを作ったほうがいいのでは?」(30代・男性)

 問題が深刻にもかかわらず2004年には流行語にノミネートされた過去を持つ“自己責任”。そんな扱い方をしてしまう国にも責任がありそうなものだけど……。

「自己責任という言葉は、ていのいい“自業自得”という言葉の置き換えだと思う。本当は自業自得って言いたいんですよ。でも、それだと角が立つ。自己責任なんて、結局、“自分は正論を言っているんだ”と思い込みたい保身の言葉でしかないのでは、と思います」(40代・女性)