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 6月25日、警視庁捜査1課が東京都渋谷区上原に住む飲食店アルバイトの佐藤一麿容疑者(29)と、静岡県富士市今宮の農業・秋山智咲容疑者(23)を死体遺棄の容疑で逮捕した。

 秋山容疑者の実家は茶などを生産する豪農で、れっきとしたお嬢さま。東京の白百合女子大へ進学して、将来はアナウンサー志望だった。

 テレビマン気取りの佐藤容疑者と出会い、交際するうちに、ウソを見抜いたのか、恋が冷めたのか。犯行後、大学を卒業する前に別れている。結局アナウンサーになれず大学を卒業した昨春、実家にUターンして農業手伝いをしていた。最近のブロクでは、

〈中学校の同窓生と婚約しました〉

〈遠距離恋愛なのでつらい〉

 と書き込むなど新しい彼氏とは順風満帆だったようだ。主犯格とみられる佐藤容疑者は都内でも有数の高級住宅街に住んでいた。約200平方メートルの敷地に鉄筋コンクリート3階建ての豪邸で、資産価値はおよそ3億円前後。約5年前に建て替えている。

「そもそも、おばあさまとお母さまが35年ほど前、旧宅を購入して引っ越してこられた。その後、お父さまと結婚されて、男の子を2人もうけたのです」(近所の主婦)

 佐藤容疑者の母親は文化放送の元アナウンサーで、退職後も嘱託として勤務していた。

「お母さまは控えめで優しい方。おばあさまは2年前に亡くなりましたが、最後まで介護されていました。つたない歩行の手を引いて、いつも2人で歩いていらっしゃった」(別の主婦)

 父親は大手証券会社で働いていたが、数年前に定年を迎えて悠々自適な暮らしという。

「ご主人の趣味はテニス。ご夫婦とも美男美女でね。でも、長男は残念な……」

 と口ごもった。その先を強引に尋ねると─。

「残念な顔、ブサイクなんです。それに昔からひどいアトピー性皮膚炎で、首までね。3歳下の弟さんはお母さん似で可愛いというか、イケメン。お母さまは昔から弟さんばかりかわいがっておられた」

 佐藤容疑者はコンプレックスに耐えきれなくなったのだろうか。ウソの経歴で女性に接近し、誰に話しかけるわけでもなく、自宅周辺の路上で奇行を繰り返した。

「高価そうなスーツを着て歩きながら、“オレは会議でEXILEを推そうかと思っているんだけどさぁ”とか“あのEXILEがね”などとまるでディレクターみたいに、大声でスマホで電話しているんですよ。受け答えのタイミングがおかしいので、“エアギター”ならぬ“エア電話”でしょうが」(同)

 ウソつきは今に始まったことではない。

「小学校ではスポーツ団でバスケをやっていた。中学校はコンピューター部。だけど、大ボラを吹いたり、友達の家のおもちゃなどを黙って持って帰ったりするやつですからね。弱い者には強く、強い者には弱い典型ですよ。だから、好かれない。友達も少ないんです」(前出の先輩)

 近所の男性も次のようなエピソードを覚えている。

「小・中学校時代、後輩の女の子を体育館に押し込んで閉じ込めてしまったことがあってね。そういうワルだった」

 大学時代には、会社を立ち上げると言って、複数の友人から1人頭100万円ぐらい借りている。ところが、いまだに返していない。

「被害者は最低でも2人いますよ。その1人が詰め寄ると、携帯を取り出して、“お父さま、大変なことになっているんです”とか言って、お金の工面を頼んでその場を取り繕った。でもその電話も“エア電話”だった」(前出の先輩)

 事件の全容はまだ見えない。阿部さんの今年9歳になる長男の行方が心配だ。

<取材・文/フリーライター山嵜信明>