先日、悠仁さまが『アリのままでいたい』を、佳子さまが『奇跡のひと マリーとマルグリット』を鑑賞されたことが話題になりました。中でも目と耳が不自由な少女の交流を描いたストーリーに佳子さまが“涙ぐまれた!?”と聞いて、見てみたい! と思った人も多いのでは?

 そこで、あまたある映画の中から、皇室の方々が見られた、まさに“選ばれし”作品を家族、自然などのテーマ別にピックアップ。映画の出演者と皇室の方々との会話も注目のひとつという、貴重な試写会の様子もあわせてレポートします!

★故郷を思い出す「家族愛」編★

 国、時代は違えど、それぞれの「家族愛」がそこには描かれています。家族への特別な思いが涙を誘い、ホッと心を温めてくれることでしょう。

■『一枚のハガキ』

(’11.07.13 天皇陛下と美智子さまがご鑑賞)

本作をもって当時99歳を迎えた新藤兼人監督が、監督業引退を宣言していたこともあり、両陛下が完成をお祝いしたいと鑑賞が実現。天皇陛下が同監督の作品を公の場で鑑賞されたのは、’99年の日本映画名作鑑賞会でご覧になられた『裸の島』以来12年ぶり。上映後、“ラストシーンで助かりましたね。救いがあるのがいいですね”と感想を述べられた天皇陛下に対し、“新しい日本です”と答えた監督。その様子を見た出演の大竹しのぶは感極まって涙した。

天皇陛下の左に新藤兼人監督、右に豊川悦司、大竹しのぶ
天皇陛下の左に新藤兼人監督、右に豊川悦司、大竹しのぶ

●あらすじ

終戦を迎え、戦地から戻った啓太。しかし、故郷で待つはずの家族はすでにいなかった。生きる気力を失う中、戦死した仲間の兵士から託されていた1枚のハガキの存在を思い出し、仲間の妻・友子を訪ねるが……。戦争にすべてを奪われた男女の再生を描いた感動作。

「100歳まで生きた映画界の巨匠、新藤兼人監督の“遺言状”となった遺作(撮影時98歳)。監督の実体験をもとにした内容で、戦争の悲劇を乗り越えて再生していく男女の姿が感動的に描かれ、最後は力強い生命力が伝わる。豊川悦司と大竹しのぶも熱演」(映画ライター・大森さわこさん)

”ÀŸ^”O›ŁJK

発売元:東映ビデオ 販売元:東映 価格:5076円

■『僕と妻の1778の物語』

(’11.01.20 美智子さまがご鑑賞)

主演のSMAP草なぎ剛と竹内結子とともに鑑賞された皇后さま。皇后さまの隣で鑑賞した草なぎは演技を褒められたということで「僕、皇后さまに褒められたんですよ! すごくないですか? 生まれてきて一番うれしかった!」と大興奮。竹内も「現実なのか実感がわきません」とコメントを残した。

20150721_movie_20110120_a
草なぎ剛(中央)、竹内結子(右)とともに鑑賞された皇后さま

●あらすじ

実話を基にした、ある夫婦の愛の物語。ある日、医師から最愛の妻・節子が大腸がんで余命1年だと宣告されたSF作家の朔太郎。笑うと免疫力が上がると聞き、妻だけに向けて毎日、原稿用紙3枚以上の短編小説を書くことにする。

「SF作家・眉村卓ががんを患った妻のために1日1話ずつ捧げたという実話の映画化。笑いというより哀愁に満ちてファンタジックな物語世界と、夫婦の愛情物語が同居する。アイドルの自我を感じさせない草なぎ剛の浮き世離れしたオタクっぽさ、純粋さがいい味に」(映画ライター・若林ゆりさん)

1778_s

発売元:関西テレビ放送 フジテレビジョン 販売元:ポニーキャニオン 価格:【スタンダード・エディション】DVD 3990円、ブルーレイ 4935円 【コレクターズ・エディション】DVD 5985円/2枚組、ブルーレイ 6930円/2枚組

■『マンマ・ミーア!』

(’09.01.22 美智子さまがご鑑賞)

チャリティー試写会に訪れた皇后さまを、主演の米女優メリル・ストリープがお出迎え。笑顔で握手を交わし、隣に並んで一緒に鑑賞した。上映後にメリルに「よかったわ」とお声がけされたという皇后さま。メリルは「記念すべき夜になりました」「とても優雅で本当に本当に美しいお方だった」と感激した様子で語った。

20150721_movie_20090122_a

●あらすじ

ABAの大ヒットナンバーで構成され、世界170都市以上で公演された同名ミュージカルを映画化。母子家庭で育ったソフィのひそかな夢は、まだ見ぬ父親とバージンロードを歩くこと。結婚式が決まり、母の昔の恋人である3人の“父親候補”に招待状を出すが……。

「メリル・ストリープが、9.11後のショックが癒えないころにNYブロードウェイで舞台版を鑑賞し、観客みんなが笑顔になっていることに感動して出演を快諾しただけあって、とにかく元気になれる作品。父親候補が何人も出てきてひと騒動を起こしても、ABAの曲に乗って、みんなで歌って踊ればOK! って感じ?? P・ブロスナンら俳優陣の歌唱力もツボ」(映画ライター・中山治美さん)

20150721_movie_20090122_b
(C)2008 Universal Studios and Internationale Filmproduktion Richter GmbH & Co. KG. All Rights Reserved.

発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント 価格:1543円

★圧巻の映像美!「大自然と命」編★

 自然を舞台にいろんな形で「命」を映しだす感動作の数々。大迫力の映像美・サウンドにも注目! 「命」という、何にもかえられない大切なことを教えてくれるはず。

■『アリのままでいたい』

(’15.06.20 秋篠宮さま、紀子さま、悠仁さまがご鑑賞)

秋篠宮さま、紀子さまとともに試写会に訪れた悠仁さま。昆虫好きで、皇居で虫捕りをすることもあるという悠仁さまは、たいへん興味深そうに身を乗り出すようにしてご鑑賞。またアリがカマキリの幼虫を襲うシーンで秋篠宮さまに“クロオオアリですか?”と聞かれたという栗林撮影監督は、「種名まで言われたことにびっくりしました」と造詣の深さに驚いていた。

20150721_movie_20150620_a

●あらすじ

樹液をめぐるカブトムシやクワガタムシなどの死闘、鋭く尖った鎌で獲物を待ち伏せするカマキリ。世界唯一の特殊な“アリの目カメラ”で昆虫たちの超クローズアップ映像を撮影。昆虫が見せる迫力満点の生存競争は、まるで怪獣映画さながら!

「お子さんはもちろん、大人も釘づけになってしまうほどの面白さ! 目の前で次々と起こる、昆虫たちが見せる衝撃のドラマ。彼らの“生きるため”の闘いを映し出した映像は、まばたきするのも惜しいほどの大迫力!」(編集部)

20150721_movie_20150620_b

7月11日(土)2D/3D 全国ロードショー

監督/鴨下潔 撮影総監督/栗林慧

■『日本列島 いきものたちの物語』

(’12.01.25 秋篠宮さま、紀子さま、佳子さまがご鑑賞)

秋篠宮ご夫妻と佳子さまが、ナビゲーターを務める黒木瞳や出田恵三監督とともにご高覧。佳子さまは上映中、ビクッと驚かれたり、胸が熱くなるシーンでは感極まったのかお顔に手を近づける姿も。また、自然や生き物に詳しい秋篠宮さまは撮影方法を監督に質問されたり、作中に出てくる生物について紀子さまと佳子さまに熱心にご説明される様子も見受けられた。

20150721_movie_20120125_a
佳子さまの隣でナビゲーターを務めた黒木瞳

●あらすじ

2年半をかけて、全国約30か所で30種類の動物を撮影。嶋田忠、中村征夫など、日本を代表する動物カメラマンが集結し、ヒグマやニホンザル、イノシシ、キタキツネなど、動物たちが家族で支え合う姿を映し出した。四季折々の豊かな自然の移ろいも見どころ。

「親子の絆や自然の厳しさが教えてくれる命の重みに涙。でも、ときどきホッコリもさせてくれる、心温まる作品。ナレーションには嵐の相葉クンや長澤まさみ、ガレッジセールのゴリなど著名人が名を連ねますが、映像だけでも十二分に楽しめます!」(編集部)

NR_DVD_st

発売元:電通 販売元:東宝 価格:4104円

■『劔岳 点の記』

(’09.06.17 皇太子さまがご鑑賞)

日本山岳会の会員で、登山が趣味の皇太子さま。鑑賞後は登ったことのないという劔岳に興味を持たれていたそう。また皇太子さまはオーケストラにも参加していることもあり、作中のバッハやヴィヴァルディなどの楽曲についてたいへん詳しいご様子で、監督らを驚かせた。出演の浅野忠信は「緊張と同時に、一緒に見ているという喜びで気持ちが高揚しました」とコメント。

20150721_movie_20090617_a
皇太子さまの左に木村大作監督、浅野忠信、香川照之

●あらすじ

日本地図完成のため、未踏峰の劔岳山頂を目指すこととなった陸軍測量手の柴崎芳太郎率いる測量隊。山の案内人・宇治長次郎らと頂を目指すが、待っていたのは、過酷な雪に暴風雨、雪崩という絶望的な状況だった。俳優陣が命がけで演じた雪山シーンは必見。

「映画『鉄道員』などで知られる名カメラマン木村大作の監督デビュー作。CG全盛の最中、劒岳の四季や雄大さをカメラに収めることに執念を燃やし、役者にも過酷な撮影を強いた渾身作。その気迫や俳優陣の恨み節まですべてが映像に現れており、だからこそラストの劒岳がより一層輝いて見える。雪山は怖いよ……という現代人への警鐘にも最適」(映画ライター・中山治美さん)

20150721_movie_20090617_b

発売元:フジテレビジョン 販売元:ポニーキャニオン 価格:ブルーレイ 6156円【メモリアル・エディション】DVD 3084円【レジェンド・ボックス】DVD 7020円/2枚組

★胸が熱くなる…「絆」編★

 どちらの作品も公開時には大きな話題を呼んだ人気作。少女たちが大人になる過程が描かれ、多くの女性たちのココロをギュッとつかんだ。

■『奇跡のひと マリーとマルグリット』

(’15.05.19 紀子さまと佳子さまがご鑑賞)

5月19日、有楽町朝日ホールで行われた試写会に、紀子さまと佳子さまが参加。公務などを通じて手話への理解が深いおふたりは、目と耳が不自由な少女の実話を基にした本作を熱心に鑑賞されたとか。中でも佳子さまは「手話が形のあるもののみならず、神や心など形のないものを伝えることに非常に感動しました」と感想を述べ、上映中は涙を流されたそう。

20150721_movie_20150519_a

●あらすじ

生まれつき目と耳が不自由で、一切教育を受けずに育ったマリーと、難病を抱え、残りの人生をかけて彼女を教育することになった修道女のマルグリット。誰にも心を開かなかったマリーは、マルグリットの献身的な関わりで、初めて生きる喜びを知っていく。

「聴覚にハンディキャップを抱えながらも、マリー役を演じきった新人女優アリアーナ・リヴォアール。前半では野性児のように、後半では表情豊かに生き生きと演じる姿は必見! ただ泣ける作品ではなく、希望、光も見いだせる感動作だと思います」(編集部)

20150721_movie_20150519_b
(C)2014 - Escazal Films / France 3 Cinema - Rhone-Alpes Cinema

シネスイッチ銀座ほか全国にて上映中。

■『アナと雪の女王』

(’14.03.19 紀子さまと眞子さまがご鑑賞)

チャリティー上映会に紀子さまと眞子さまがご出席。同席したMay J.に、鑑賞後すぐに「素晴らしい音楽と歌を楽しませていただきました」と紀子さまが感想を述べられたそう。また上映中は眞子さまがオラフのシーンでたびたび笑っていたといい、May J.は「一緒に笑わせていただきました。気に入っていただけたようでうれしかったです」と喜びを語った。

20150721_movie_20140319_a
眞子さまに説明するMay J

●あらすじ

アレンデール王家の姉妹エルサとアナ。触ったものを凍らせてしまう力を持つ姉エルサは、その禁断の力で王国を冬の世界にしてしまい、行方不明に。妹のアナは、姉と王国を救うために旅に出る。主題歌をはじめ、劇中のミュージカルナンバーに感動が倍増!

20150721_movie_20140319_b
(c)2015Disney

MovieNEX/オンデマンド発売中。

発売元:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン 価格:4320円

★号泣必至!?「動物と人」編★

 涙なしには見られない、感動必至の動物ムービー。動物との絆や命の重さを感じずにはいられません。動物たちの名演技(?)にも注目!

■『HACHI 約束の犬』

(’09.07.31 皇太子さま、雅子さま、愛子さまがご鑑賞)

愛犬家としても知られる皇太子ご夫妻、愛子さまがご出席。実は愛子さまが映画館で鑑賞されたのは、この日が初めて。皇太子ご夫妻は「映画館で見る初めての作品が本作で、とてもよかった」と述べられたという。また、日本語の吹き替え声優を担当した北大路欣也によると、雅子さまは作中、涙をぬぐっていたとか。

20150721_movie_20090731_a

●あらすじ

忠犬ハチ公の物語がハリウッドで映画化。ある日、大学教授のパーカー・ウィルソンに保護された迷い犬の秋田犬。ハチと名づけられた子犬は成長し、夕方5時になるとパーカーを駅で出迎えるようになっていた。しかし、パーカーが大学の講義中に倒れて……。

「忠犬ハチ公の物語が、ハリウッドにかかると派手に盛られるんだろうと思いきや、そこはラッセ・ハレストレム監督。地味な話を地味なまま、温かい絆の物語として丁寧に語っていてさすが! 教授とハチの仲よくなっていく過程がよくわかるから、教授を待ち続けるハチの愛が胸に迫って泣けます」(映画ライター・若林ゆりさん)

20150721_movie_20090731_b
(C)Hachiko,LLC.

発売元・販売元:松竹 価格:4104円

■『旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ』

(’09.01.27 秋篠宮さまと紀子さまがご鑑賞)

社団法人日本動物園水族館協会の総裁を務める秋篠宮さまと、紀子さまがご鑑賞。マキノ(津川)雅彦監督は体調不良のため無念の欠席となったが、「素晴らしい作品」と両殿下がお褒めの言葉を述べられたことを受け、出演の西田敏行は「この感動をマキノ監督にそのままお伝えします」と挨拶した。

20150721_movie_20090127_a

●あらすじ

経営困難で閉園を迫られていた旭山動物園。園長の滝沢をはじめ、飼育係たちは園を復活させるべく日々奔走していた。やがて、夜の動物園などのアイデアが話題となり、徐々に活気を取り戻していくが……。全国屈指の人気動物園になるまでの奮闘を描く。

「今や北海道の観光名所となった旭山動物園にも歴史あり。廃園危機からいかに立ち上がったかを描いているので、現在の旭山動物園をたっぷり見られるのかと期待するとちょっと違う。その、冴えない時代の園内を、茨城のかみね動物園で撮影しているというのも興味深い。ヒロインは歌舞伎俳優・中村勘九郎夫人の前田愛。名女優なんだから」(映画ライター・中山治美さん)

20150721_movie_20090127_b

発売元・販売元:株式会社KADOKAWA 価格:4104円