今週はお盆休みで帰省中という方も多いと思う。この楽しい旅行が終わったら、夏休みも終盤だ。やっていない宿題が頭を悩ます日も近いと思う。

 そこで、今回は帰省中にちょっと準備したら、簡単に楽しく自由研究ができるようヒントを書きたいと思う。

 一番やりやすいのは、その帰省中の土地を調べることだ。何といっても、お父さんかお母さんはその土地のプロなんだからね。

 もっと言えば、おじいちゃん、おばあちゃんはもっとプロだ。

 取材の基本は、足で稼ぐ、人の話を聞いてみることだ。

 まずは、おとうさんとかおかあさん、おじいちゃん、おばあちゃんに地元の話を聞いてみよう。

 どんな町なのか、どんなところが住みやすいのか、こんなところが不便だとか、近くに名物おばさんがいるとか……。

 聞いたら今度は、そこを訪ねてみよう。

 実際足を伸ばして、その写真を撮ってみたらいい。

 そして、必ず、そこにいる人や、近所の店の人なんかにそこのことを聞いたらいい。何かいい情報を教えてくれる。

 大阪城や筑波山に、ジプリ映画のモデルになったかもしれない道後温泉、日本で一番美しいとされている波照間島のニシ浜ビーチ……。地元がそんな名所旧跡でなくたって、どこだって立派な自由研究ができる。帰省しない人だって、今住んでいる土地を調べればいいわけである。

 人口や県庁所在地、産業、名産、気候風土、有名人(歴史上のも含む)、名所、地域の歴史などなど、これはネットでも図書館でも簡単に調べられる。

 それは基本情報として表にする。

【写真】公益財団法人日本博物館協会
【写真】郷土史は都道府県、市町村や区の歴史博物館、郷土博物館で概要をつかめる。公益財団法人日本博物館協会のサイトで検索可能(https://www.j-muse.or.jp/)

 家の周りなんて何にもないよ、と思っているあなたの家の周りにも、小さな八幡様や庚申塚があると思う。

 それを写真にとって調べてみると意外なドラマが必ずある。

 ボクの住んでいる土地の小さな神社でも、源頼義が奥羽二国に遠征の途につくときに祈願したという由来があったりする。

 近くには馬頭観音があり、1805年建立の銘があって驚いた。道標にもなっていて大山街道と書かれていたりする。

 戦争中は軍隊の馬を放牧していた土地だったなんて、近所の酒屋さんで聞いたりした。酒屋さんのおじさんの写真つきで取材した話を加えたりもできるし、年表もできるかもしれない。

 こんな歴史的なものが、新興住宅街の我が家近くにもひっそり建っているのだ。

 マンホールの蓋にだって歴史があったり、由来があったりする。近くの公園10個のベンチの数と水のみ場の形の違いを写真とともに解説して、そこによく来る人を調べる。

 例えば野球の子どもがよく来るのなら、ここは球技OK。ここは午前が赤ちゃんを連れたママ、午後はお年寄りのゲートボールなんて調べるだけでも、立派な自由研究になる。

 とにかく現場に出かけてみて、そこの人に話を聞いてみる。

 あと、自由研究といえば、図書館だ。ここなら、もしかしたら足で稼いで、人に聞かなくてもいいかもしれない。

 図書館で調べるというだけではなく、今はいろいろなイベントをやってくれている。

 図書館流通センターの「イチオシ図書館イベント」というサイトでは、「図書館では夏休みの自由研究を応援します」と題して全国の図書館のイベントを紹介している。

 例えば、奈良県の大和高田市立図書館では夏休み期間の午後、「図書館を使って調べてみよう応援隊」という企画をやっていて、相談に乗ってくれる。また、他の全国各地の図書館も夏休み期間中、「夏休み自由研究おたすけ隊」「しらべる応援隊」などなど、いろいろな企画がある。

【写真】株式会社図書館流通センター
【写真】株式会社図書館流通センター(TRC)の「図書館は夏休みの自由研究を応援します!」(https://www.trc.co.jp/topics/event/e_researchproject.html)。夏休み後半もさまざまなイベントがある

 ボクは昔から、自由研究というとワクワクしたもんだった。

 ボクの時代の自由研究の花形は昆虫採集で、なんだか防腐剤のような注射がついていて憧れた。

 息子の時代は身体の不思議や武将ものが流行っていた、

 娘の時代はお仕事体験みたいなのが流行っていたなあ。

 今年は戦後70年。小学生には辛いレポートになるけれど、戦争について家族で話し合い、それぞれの考えを書き記すいい機会になるかもしれない。

〈プロフィール〉

神足裕司(こうたり・ゆうじ) ●1957年8月10日、広島県広島市生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。学生時代からライター活動を始め、1984年、渡辺和博との共著『金魂巻(キンコンカン)』がベストセラーに。コラムニストとして『恨ミシュラン』(週刊朝日)や『これは事件だ!』(週刊SPA!)などの人気連載を抱えながらテレビ、ラジオ、CM、映画など幅広い分野で活躍。2011年9月、重度くも膜下出血に倒れ、奇跡的に一命をとりとめる。現在、リハビリを続けながら執筆活動を再開。復帰後の著書に『一度、死んでみましたが』(集英社)、『父と息子の大闘病日記』(息子・祐太郎さんとの共著/扶桑社)、『生きていく食事 神足裕司は甘いで目覚めた』(妻・明子さんとの共著/主婦の友社)がある。Twitterアカウントは@kohtari