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 今年7月、ユネスコの世界遺産委員会にて正式に登録が決まった「明治日本の産業革命遺産」。これにより日本の世界遺産登録数は19(文化遺産15、自然遺産4)になったが、富士山、富岡製糸場と“立て続け感”を覚える人も。

 2012年のNHK大河ドラマ『平清盛』で時代考証を担当した歴史学者・東京大学史料編纂所教授の本郷和人さんはこう語る。

「各自治体が“起爆剤”として奔走する気持ちもわかるのですが、研究者の立場から言わせてもらえば、遺産は“保存するもの”ですから、客寄せパンダ的に扱われるのはいかがなものかと。せっかく観光化しても遺産だけをフィーチャーするあまり、ホテルやトイレなど施設・設備がおざなりになっているところもある」

 また近年は取扱説明書がないと、何がすごいのかわからない場所も増えているとも指摘。

「大きな枠組みのなかで世界遺産を生かす取り組みをもっと行ってほしい。これだけ増えていけば“ガッカリ遺産”なんて揶揄されるものがあるのも納得。同列に並べるのではなく、『観光型』『学術型』『建造型』などクラスを設ければみなさんの期待値にも振り幅が生まれる。誰のための遺産なのかもっと考えてほしいなぁ」