これといったサプライズ人事もなく、第3次安倍改造内閣が7日に発足した。違った意味でサプライズだったのは、女性閣僚がまた減ったこと。安倍首相は女性をどうしたいのか。

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「来年夏の参院選を意識した改造ですね。ともに初入閣の丸川珠代環境相(44)、馳浩文科相(54)は、そこそこ知名度があるので選挙戦の応援弁士にはいい“客寄せパンダ”です。政治家としての実績は乏しいといわざるをえません」

 と政治評論家の浅川博忠氏。

 主要閣僚はほとんど留任し、初入閣組を含めて話題性ゼロ。党4役も留任で、安倍首相は「自民党は人材の宝庫」と胸を張るもののインパクトに欠ける。それどころか、入閣要請を断ったと報じられた小泉進次郎氏(34)は、心血を注いできた復興政務官職を解かれた。まるで報復人事だ。

 女性閣僚は組閣のたび減っている。閣僚19人で丸川氏、新任の島尻安伊子沖縄・北方相(50)、留任の高市早苗総務相(54)の3氏だけ。アベノミクスの成長戦略で「女性の活躍推進」を柱に据えながら、当の本人が抜擢しないのだから言行不一致だ。どうして女性を起用しないのか。

 前出の浅川氏が言う。

「自民党は民主党政権下の3年3か月、野党暮らしが続いたため入閣待機組があふれている。衆参計70人以上でほとんど男。女性枠を確保する余裕がなく、全閣僚に占める女性の比率は1割以上あればいいと考えたんでしょう」

 昨年9月、第2次安倍改造内閣では女性閣僚を5人起用し、小泉政権時と並ぶ過去最多となって話題を呼んだ。

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 ところが、起用された小渕優子、松島みどり両氏が“政治とカネ問題”で早々に辞任。トホホな結果に終わった。同年12月の第3次安倍内閣で女性閣僚は4人にとどまり、「女性の活躍」がどこまで本気か怪しくなっていた。

 全国紙記者の話。

「安倍首相は組閣後の記者会見で、女性政策の課題について“指導的地位に占める女性を3割にするのは簡単ではない”などと述べた。指導者の年代にそもそも女性が少ないからという。民間企業の話だけれど、女性閣僚を減らした自己弁護にも聞こえた」

 改造内閣で目新しいのは、1億総活躍担当相が新設されたこと。旧大蔵官僚で「首相のお気に入り」(前出の記者)という加藤勝信・元官房副長官が充てられた。

「安倍さんは学歴コンプレックスがひどい。祖父・岸信介元首相や父・晋太郎元外相は東大卒。東大に行くのが当たり前の家柄に育ち、子どものころから家庭教師をつけてもらったのに東大には入れず、私大(成蹊大)卒です。だから周囲を私大卒で固めたがる。高卒の閣僚もいます。東大卒の加藤氏を目玉ポストに就けたのは、お互いの親同士が親しかったから。お友達は重視し、自分に逆らって総裁選出馬を目指した野田聖子氏は許せないのではずす。そういうところは徹底しています」(浅川氏)

政治とカネ問題で辞任した松島みどり元法相(左)と小渕優子元経産相