神奈川・横浜の大型マンション『パークシティLaLa横浜』で、杭打ちデータが改ざんされた問題。マンションを購入する場合、どういった観点で検討すればよいのだろうか。専門家2人に意見を聞いた――

「新築を買うのは、低い確率ながらババを引く可能性もあるということ。今回の杭打ち不正は調べようがないともいえますが……」

 と前置きするのは住宅ジャーナリストの榊淳司さん。

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「ただ、私たちは工事の精度に着目し、雑な工事の物件は買いません。仕上げの段階で壁の端っこがめくれている、タイルが数枚少し浮いている、など、見る人が見ればすぐにわかる物件もあります。工事終了時のデベロッパーとゼネコン間の引き渡し検査で不備の補正が十分なされているかにも注目します」

 と、専門家ならではの見分けポイントを解説する。

「地盤が悪くても、『サンドコンパクションパイル工法』といって、強く固めた砂の杭を埋めて地盤をよくする施工をしているマンションはある程度安心といえる」と榊さん。

 知識、経験のない私たちに代わって、不動産の価値を見極めてくれる会社もある。

 公認不動産コンサルティングマスターで『ベストサポート』代表の大友雅敏さんは、

「不動産の価値は立地条件、商品、価格で決まります。調査はこれら3つの各項目に100点満点で点数をつけ、それぞれ80点以上が合格圏。60~79点が“報告内容のメリット・デメリットを考慮のうえ慎重に判断して決定を”。59点以下はバッサリ“購入はやめたほうがいい”です。もし今回のマンションを調査していたら、間違いなく59点以下をつけたでしょう。残念です」

 地盤の悪さのほか耐震面も万全ではない可能性があり、そのうえ杭も未到達という、大変リスキーな物件だそうだ。

 大友さんの調査は正味7日間みっちり行い、金額は条件により10万~15万円。周辺環境、地盤調査、土壌汚染、日照の確保、大気汚染、土地の履歴、騒音の程度など10数項目について調べあげるという。

「複数の図書館を回り、昔の住宅地図や郷土誌、古地図などを調べ、以前、川や沼であったかどうかや土地の使われ方などを調査します。なおかつ、役所の建築課でボーリングデータを調べます。今回、問題になった地質や杭の長さなどの情報もわかります。ほかにも有害物質を発生させる周辺施設の有無、浸水の頻度など一般の人では知りえないことも調べ尽くします」(大友さん)

 マンションは人生を左右する大きな買い物である。“地盤がいいから大丈夫”“杭がちゃんと打たれていればもう安心”というのは思い違い。包括的にチェックし、じっくり選ぶ必要がありそうだ。