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 人気シリーズ、人気原作モノも多い今年の秋ドラマ。そこでコラムニスト・今井舞さんに秋ドラマを分析してもらった。

 今期目立つのが、原作のビジュアルを実写で再現したドラマ。

「綾野剛が産婦人科医役の『コウノドリ』(TBS系)は、あの横に広がった髪の毛まで再現する必要あるのか、なくても話は成立するだろ、というくらい原作に寄せてきていますね(笑い)」(今井さん)

 話はどこからもツッコまれないように、何重にも保険をかけたエピソードだと感心する。

「最後はハッピーに終わるというもの。まぁ『クローズアップ現代』みたいに現実の産科を描いちゃうと、何も解決しないまま後味悪く終わってしまうので、こんなもんですよね。それから星野源、吉田羊、大森南朋とキャラがそろった中で、研修医役の松岡茉優がいい。彼女の“普通の視点”が今作のキモなので、しっかり演技ができる松岡をキャスティングしたのは大正解」(今井さん)

 再現度の高さでは『エンジェル・ハート』(日本テレビ系)を評価。

「上川隆也はしっかり鍛え上げて、ピッタリしたTシャツにジャケット、髪型まで'80年代な雰囲気で、海坊主役のブラザートムなんて、言われないとCGと間違えちゃうくらい寄せすぎ(笑い)。そして世界観もしっかりしているんですが、ここまで再現しちゃうと、とりあえず1回見たらもういいかとなる危険もあるんですよね……」(今井さん)

 新垣結衣主演の『掟上今日子の備忘録』(日テレ系)はこう評する。

「新垣結衣の銀髪ズラと眼鏡が“このドラマは子ども向け、嫌いな人はチャンネル変えてください!”という目印になっていましたね。そういった意味では、見る人を限定して世界観をキープしているんだなぁ、と妙なところで感心してしまいました」(今井さん)