テレビや雑誌などで話題になっているミニマリストという言葉。

「和訳すると“最小限主義者”、モノを最小限に減らして暮らす人を指します」

 と話すのは、自身の体験をつづった『ぼくたちに、もうモノは必要ない』(ワニブックス刊)が16万部を突破した、ブームの火つけ役・佐々木典士さん。

 モノに所有される生活に嫌気がさして、ミニマリストになったという。

「モノが減ったことで、毎朝の掃除がとてもラクになりました。洗濯だって、モノが少なければ“干す”“たたむ”手間が減る。家事全般がとても簡略化されて、苦にならなくなるんです」

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【写真】佐々木さんのご自宅の変遷。(上)お気に入りのモノをそろえた部屋。片づければ、何とかキレイに。→(中)本はすべて処分。机もイスも手放した。→(下)マットレスもテーブルもテレビも処分。

■主婦だってモノを減らせる!

 だが、佐々木さんはひとり暮らし。自分だけのモノであれば簡単に実践できそうだが、家族がいる主婦には難しいのでは?

「人によって考え方は違いますが、僕が考えるミニマリストとは“自分にとっての最小限を自分で決めている人”のこと。つまり、それぞれの家庭で管理する物量を決めてよいのです」

 佐々木さんの著書にも、ミニマリスト主婦が登場している。

「“やまさん”という女性は、夫、子ども2人の4人暮らしですが、家具メーカーのショールームのようにすっきりとした住まい。家族の多い、少ないは関係ないと思っています」

 夫を17年かけて説得してミニマリズムを実践したという女性もいたという。

「その方は“人のモノに手をつけない”というルールを作ったようです。例えば、白と茶の基調で統一したインテリアのリビングの中に、夫のパソコンのマウスだけがグリーン……。すごく気になりますよね。でも夫のモノだから手を出さずに、そこはガマンする」

 家は主婦のものであると同時に、ほかの家族のものでもある。自己中心的なミニマリストになってはいけないのだ。

 またモノが減ることで得られるわかりやすいメリットを提示して、家族を導いていくミニマリストもいるという。

「まずは自分だけワンプレートにおかずをすべて盛りつけて、夕食をすませるようにする。すると、食後の皿洗いがとてもラクになる。その姿を夫が見て“お、手間が減っていいじゃん”となり、“自分もワンプレートにしてみようかな”と誘導される」

“こうしてよ!”と強制するのではなく、“これっていいでしょ”とプレゼン。

「今、ミニマリストの中でブームなのが、バスマットを捨てること。浴室から出るときに、タオルで足の裏までふけば必要ないですよね。この場合もいきなり捨てるのではなく、“バスマットなしで1か月暮らしてみてどうだったか”を家族みんなで試してから結論を出すほうがよいです」

 ひとつひとつ、家族の理解を得ながら実行する。それがスムーズにミニマリスト主婦になる近道。

「私もミニマリストになって毎日、気分がいいし、自分を少し好きになることができました。主婦のみなさんにも、ぜひおすすめします」

【写真】白シャツを中心にスティーブ・ジョブズみたいな“私服の制服化”を目指している(右上)。
【写真】白シャツを中心にスティーブ・ジョブズみたいな“私服の制服化”を目指している。
【写真】玄関には今日はいていく靴だけ(左)。ラックは置かない。リンスもない。液体の石けんで全身を洗う(右)。
【写真】玄関には今日はいていく靴だけ(左)。ラックは置かない。リンスもない。液体の石けんで全身を洗う(右)。
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〈プロフィール〉

佐々木典士さん。36歳。編集者・ミニマリスト。ミニマリズムについて記すサイト『ミニマル&イズム less is future』を開設。