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 “ロケット編”が完結した第5話が平均視聴率20%を突破、“ガウディ計画編”も始まって、ますます絶好調の『下町ロケット』。

 下町の中小企業が大企業に立ち向かう、というストーリーが多くの人の心をつかんでいる。そんな同作のウラ話をプロデューサー・伊與田英徳氏に教えてもらった。

 “本物”へのこだわりも特筆で、町工場シーンの再現性は、かなりのもの。

「佃製作所の外観や1階フロアは、東京・大田区にある桂川精螺製作所さんにお借りしたものです。昔ながらのスチール机も、実際に10年前のものを大事に使われていらっしゃって。また、佃製作所内の工場のシーンでは、技術者の方にお話を聞いたり、実際の工員の方々に出ていただいたりもしました」(伊與田英徳プロデューサー)

 つまり、現役の熟練工が出演していたというわけ。ロケットの部品を作ろうという町工場とあって、それくらいじゃないとリアリティーが出ないのだ。テレビ局関係者からも、こんな証言が。

「演出の福澤克雄さんも、こだわりが強い人。日本を支えている技術者の方々にも“あれは嘘だ”と言われたくないという気持ちだそうです」

 佃製作所の開発室に置かれている重さ約2トンのエンジンやバルブも、メーカーから借りた本物。本当に開発している気持ちになれそうだ。

「JAXA(宇宙航空研究開発機構)さんのご協力もいただいています。日本でロケットを扱う機関はJAXAさんしかないので、もし協力しないと言われたら、その瞬間に終わってしまいますから、アプローチは緊張しましたね」(伊與田英徳プロデューサー)

 “本物”といえば、佃製作所の若手たちが焼き肉を食べるシーンでは、実在の焼き肉店を使用。

「朝7時くらいからの撮影でした。でも、彼らはちゃんと焼き肉を食べていましたよ。大田区の『芝浦食肉』というお店です」(伊與田英徳プロデューサー)

 伊與田氏いわく「すべてのシーンをこだわりぬいて撮っています」とのことで、そのこだわりのひとつにカット割りの少なさがある。どんな長いシーンもカメラを回しっぱなしで一気に撮るため、キャストは大変。セリフを忘れたり、間違えたりすることの恐怖は、ほかの現場の比ではない。

「台本10ページ分くらい撮り続けることもありますよ。帝国重工の社長を演じる杉良太郎さんも“こんな撮り方は役者を51年やっていて初めてだ”と驚いていました」(芸能プロ関係者)