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 昨年の紅白歌合戦の偽造入場券が取引サイト『チケットキャンプ』に大量に出品され、被害者が続出していたという。

 ネットでのチケット取引の問題点をITジャーナリストの井上トシユキ氏はこう話す。

「チケット取引サイトで売られているものの半分くらいが偽物と言われたこともあります。サイトはチケットを取引する場を提供するだけで、詐欺かどうかは確かめませんよというスタンス。なので、偽チケットの取引を防止する策がないのが実情ですね」

 ネットでのチケット取引がチケット詐欺の温床になっていることは間違いないだろう。では、偽造チケットを販売することは、どのような罪になるのか。商取引に詳しい『弁護士法人・響』の徳原聖雨弁護士に聞いてみた。

「故意に偽造したチケットを売ったとなると、詐欺罪が成立する可能性があります。これは、罰金刑がなく10年以下の懲役と、比較的重い罪になります。また、チケット取引サイトも、明らかな偽物であることを知りながら放置し、詐欺をしやすい環境をつくったとみなされた場合、詐欺罪幇助に問われる可能性がありますね。

 もし、偽造チケットを購入してしまった場合、販売者に言っても解決は難しいことが多いでしょうから、まずは警察に被害届を提出すること。そして、チケット取引サイトにも被害を申し立てることが必要でしょう」

 偽造チケットを売る人間がいちばん悪い。だが、その状態を野放しにしていれば、サイト側も法的責任を問われる可能性があるのだ。

 そこで、チケットキャンプを運営する株式会社フンザに偽造チケット対策や被害者の保護について問い合わせてみると、こんな回答が寄せられた。

《偽造チケットなどの出品については、パトロールチームによる24時間監視を行っており、発見次第、アカウントの利用停止などの対応を行っております。また、警察捜査については全面的に協力することはもちろんのこと、連携を図りながら根本解決に対しても取り組んでおります。

 これまで、幾つかの同様の手口に対して被害を未然に防ぐこともできましたが、今回は実際に被害に遭われた方もいらっしゃることから、あんしん補償(偽装チケットの補償)外の被害者の方々も含め、社内にて対応を検討している段階でございます》

 多くの音楽チケットは販売元が転売などを禁じている。それだけに転売チケットを買い、騙されても“自業自得”という声があるのも事実だ。ただチケット取引サイトがテレビCMを打ち、堂々と営業していることもまぎれもない現実だ。