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 甘利明・前経済再生相サイドが2013年から'15年にかけて千葉県白井市の建設会社S社から口利きの見返りとして現金などを受け取っていたとする問題は、1月21日発売の『週刊文春』が報じたことで明るみに出た。

 甘利氏側が受け取った金の一部は、政治資金収支報告者に記載がなかった。政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いがある。

「報道によると、500万円受け取って200万円分しか記載がない。秘書が自分で300万円使ってしまったという。形式的には虚偽記載にあたります。同時に、甘利事務所からすると秘書の業務上横領になる。しかし、親告罪的なところがあるので、秘書が被害弁済すれば告発しないでしょう」(日本大学法学部・岩井奉信教授)

 これとは別に秘書が'14年11月に受け取った50万円についても、政治資金収支報告書に記載がなかった。

「罪に問われるのは会計責任者か記載責任者。甘利氏は“ウソをかけ”などと指示していない限りセーフです」(同)

 違反が認められると、5年以下の禁錮または100万円以下の罰金が科せられる。

 甘利氏は辞任表明会見で、こう否定。

「お客の前で紙袋から現金の入った封筒を取り出し、スーツの内ポケットに入れるのは、政治家以前に人間として品格を疑われる行為。そんなことするはずがない」

 しかし、現金授受そのものは認めている。

 金で政治家を動かそうとするのはホメられた行動ではない。しかし、金を渡したのに結果が出なかったのだから、業者からすれば“詐欺”に等しいのではないか。

 前出の岩井教授は言う。

「最初から何もしないで金だけもらおうという犯罪意図があれば詐欺罪は成り立ちうるが、一応動いてはいるみたいですからね(笑い)」

 告発者が録音テープを回していることなどから、与党内では「罠にハメられた」とアキレた同情論まで飛び出した。甘利氏は「なんら国民に恥じることはしていなくても、秘書のせいと責任転嫁するようなことはできない。政治家としての美学、生きざまに反する」と涙ぐんでみせた。

 ジャーナリストの大谷昭宏氏は「甘利氏は勘違いしている」と厳しい。

「快気祝いで50万円もらうのはまともな感覚ではない。市民感覚で言えばアウトだ。秘書は業者にタカるだけタカっておきながら口利きの動きが鈍かった。一生懸命、口利きして効果があったらあっせん利得処罰法違反で、怠けたらセーフというのも腹の立つ話。

 甘利氏は美学だなどと言っているが、口利きを頼んでくるような業者から金をもらうのは美学に反しないのか。東京地検特捜部は長いことバッジを取って(国会議員を捕まえて)いないし、しっかり捜査してほしい。野党も国会でとことん追及すべき」(大谷氏)

 東京地検特捜部は2日、UR職員から任意で事情を聞いた。金をもらった政治家の被害者ヅラは許せない。