'13年、一大ブームになったNHKの朝ドラ『あまちゃん』。主演の能年玲奈は一躍、国民的女優と呼ばれるようになり、その後の活躍が期待されたが
写真:'13年、一大ブームになったNHKの朝ドラ『あまちゃん』。主演の能年玲奈は一躍、国民的女優と呼ばれるようになり、その後の活躍が期待されたが

「最近でもブログの更新はしていますが、本来の女優の仕事はまったくしていません。6月末に所属事務所との契約が切れるそうですが、もし契約が更新されないとなると、彼女は芸能界を引退せざるをえないことになるでしょう」(テレビ局関係者)

 穏やかではない話だが、“彼女”とは、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』('13年4月~9月放送)で主役の“天野アキ”を演じた能年玲奈のことである。『あまちゃん』は世相を反映した脚本の面白さと、能年の未熟ながらも健気な演技が共感を呼び、視聴率も回を追うごとに上昇した。職場で学校で話題に上り一大ブームとなったうえ、劇中で驚いたときに飛び出す「じぇじぇじぇ」という台詞は流行語にもなった。

 そして能年は、これ一作で一気に国民的女優と呼ばれるようになったのだが、いま芸能界引退の危機にあるというのだ。まさに“じぇじぇじぇ”な話だが……。

 なぜそんな状況になっているのか。発端は昨年春に噴出した“独立騒動”だった。

「'15年4月に東京スポーツが一面で《能年玲奈“洗脳”騒動》と大きく報道し、能年が“生ゴミ先生”と呼ぶ演出家のT氏に洗脳されて、所属事務所に無断で個人事務所を設立したというものでした」(スポーツ紙記者)

 その後、東スポの報道を受け、『週刊文春』が能年とT氏側に立った記事を掲載、さらにその後『週刊新潮』が文春の記事を否定する記事を掲載し、週刊誌を通して能年と事務所との確執が明らかになったのだった。

■“洗脳”は本当にあったのか

 それ以降、能年は表舞台から消え、姿を見ることができたのは生命保険会社のCMのみ。しかし、そのCMも終了し、彼女の近況を確認できるのは自身のブログだけとなった。そんな状況のなかで、事務所との契約満了の時期が来月に迫っているという。そして聞こえてきたのは、

「どうやら能年は契約を更新する気はないようです。独立して、自分が設立した個人事務所で仕事を続けるつもりのようですね」(ワイドショースタッフ)

 にわかには信じがたい話だが、そもそも“洗脳”は本当にあったのだろうか。

「能年がT氏と出会ったのは、事務所が開いていたワークショップに演技指導を受けに通っていたころといいますから、10年くらい前になると思います。T氏の指導は生徒のコンプレックスをとことん攻撃し、でも私だけは認める、という独特のものでした。だからコンプレックスの多かった彼女はT氏に心酔してしまったようです」(舞台関係者)

 その後、T氏は能年の演技指導から離れていたのだが、

「T氏が『あまちゃん』の岩手ロケにいきなりやって来たというんです。能年が呼んだということでしたが、このころからすでに事務所のコントロールがきかなくなっていたのかもしれません」(前出・ワイドショースタッフ)

 それと前後して能年の態度にも変化が現れることに。

「今までそんなことはなかったのに、不平や不満を目に見えて口に出すようになり、それだけならまだしも、ブチギレして現場のマネージャーに罵声を浴びせたりもしていました」(制作会社スタッフ)

 そんなことが続いたため、耐えきれずにマネージャーが何回も交代することになったという。『あまちゃん』終了後に撮影されたある映画の撮影現場でも、能年が頻繁に携帯電話でT氏に不満を訴えている姿が目撃されている。

 彼女の態度の変化が、はたして洗脳によるものかどうかは疑わしいが、少なくともT氏の影響があるのではないかと、周りのスタッフたちは感じていたそうだ。

 時を追うごとに、能年の暴走はますます激しくなっていったという。

写真:能年は今でもTさんと同居しており、近所では2人が一緒に外出する姿が目撃されている
写真:能年は今でもTさんと同居しており、近所では2人が一緒に外出する姿が目撃されている

■直接話ができない状態に

「新しい仕事の話をしても、あれやこれや理由をつけて仕事まで拒否するようになったそうです」(前出・ワイドショースタッフ)

 そんな状態が続く中で、'14年6月、所属事務所との契約更新の時期となる。

「突如として、事務所を辞めたいと一方的に言い出したため、事務所としても話し合いを持とうとしましたが、その前に彼女が代理人を立ててしまい直接話ができない状態になってしまったんです」(前出・ワイドショースタッフ)

 同時期に能年は、事務所が借りたマンションを飛び出してしまった。

「朝ドラの仕事がしやすいようにと事務所がNHKの近くにマンションを借りてあげていました。彼女は許可を得ず無断でそこを出て、近くのマンションにT氏と一緒に住み始めてしまいました」(前出・制作会社スタッフ)

 結局、事務所との契約は今年6月まで2年間延長することになったが、事務所が話し合いの場を設けようとしても能年がそれに応じない状態が続いたという。

「事務所としては仕事を入れたくても入れることができなかったんです。その話が曲解されて“干している”という話が出てきたのでしょうが、実際には考えられない話です。芸能事務所はタレントに仕事をしてもらわないとお金になりませんからね。それに彼女には今でもずっと事務所から20万~30万円の給料が支払われているんですよ」(前出・ワイドショースタッフ)

写真:'15年3月、『第31回浅草芸能大賞』授賞式で。能年は新人賞を獲得した
写真:'15年3月、『第31回浅草芸能大賞』授賞式で。能年は新人賞を獲得した

■『ちはやふる』『重版出来!』の主演が決まりかけていた

 その後は双方が代理人を介して関係改善を試み、昨年春にはようやく雪解けが見られるかと思われた。次の出演作品も決まりつつあったのだが、そこに降ってわいたのが冒頭の“独立騒動”だった。

「能年との関係が修復できると踏んだ事務所が営業に動き出して、映画『ちはやふる』と現在放送中のドラマ『重版出来!』(TBS系)の主演がほぼ決まっていました。しかし、彼女が無断で個人事務所を設立していたことが発覚したため流れてしまったんです」(映画配給会社関係者)

 無断で個人事務所を設立したことに対して、事務所は説明を求めたが、能年サイドの答えは、

《能年の描いた絵やグッズなどを販売する会社で事務所との契約に抵触しません》

 と一方的に反論し、具体的な説明もされることはなかったという。だが彼女の会社登記を見てみると、目的欄には《タレント、俳優、歌手、演奏、作曲家、作詞家、編曲家の養成およびそのマネージメントに関する業務》と明記されている。これは明らかにルール違反だ。さらに取締役には、あのT氏の名前が記されている。

■所属事務所は法的手段も視野に?

 それでも、事務所は彼女が翻意して戻ってくることを願って、ペナルティーを科すこともなく対話を求め続けていた。しかし、能年サイドは話し合いにいっさい応じないまま、契約満了が来月に迫ってきたというわけだ。

「さすがに事務所も我慢の限界のようです。能年が契約更新に応じないときは、個人事務所設立の件も含めて被害を被っていることもあり、法的手段を取ることも視野に入れているようです」(前出・ワイドショースタッフ)

 真偽のほどを確かめるべく現在の所属事務所に問い合わせてみたが、締め切りまでに回答はなかった。

 一部では『あまちゃん』で母親役を演じプライベートでも仲がいい小泉今日子が助け船を出すのでは、という話もあるが具体的な話は聞こえてこない。

「過去に鈴木亜美の例がありますが、事務所に不満があるからといって独立してもうまくいくわけはありません。芸能界に残るのは難しいでしょう。ルール違反を犯し、トラブルメーカーのイメージがついてしまった彼女に、手を差しのべるところはないと思います。元はといえば彼女の身勝手のせいでこうなったわけですから、たとえキョンキョンでも引き受けにくいでしょう」(芸能ジャーナリスト・佐々木博之氏)

 厳しい状況だが、能年に早く戻ってきてもらいたいと願っているファンは多い。その願いが彼女に届く日は来るのだろうか……。