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 高校2年生のときに見た舞台で演劇の世界に魅了された松田凌は、所属事務所の面接を受けた日のことを、こう振り返った。

「自分が変われる瞬間だと思ったんです。自己アピールの時間では、“僕を取らなきゃ損しますよ!”ってくらいの勢いでしゃべり続けました(笑い)」

 初出演舞台で主演に抜擢されてから4年。すでに30を超える舞台を経験した彼が次に立つのは、東野圭吾のベストセラー小説が原作の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』。

「僕自身、夢見がちと言うか……常にドラマを期待してしまうタイプ。シンデレラストーリーはあるんだって信じているし、それが重なってきてこそ、今があると思っているので。この作品も舞台の上でどんな表現ができるだろうと楽しみにしています」

 時空を超えた手紙のやりとりから始まる、タイムトラベル・ファンタジー。

「昔から置き手紙をするのがすごく好き。両親が共働きだったので、家族内でも置き手紙で気持ちを伝え合うことが多かったんです。字や言葉遣いって、その人が表れるからいいですよね、好きです」

 自分が今手紙を書くとしたら、いつの、誰に?

「過去の自分に。小5から中学3年までずっと好きだった初恋の人がいるんですけど、結局告白できずお付き合いできませんでした。だから教えてあげたい。“すぐ素直になりなさい!”って(笑い)」

 仕事に100%の力を注ぎたいと話す彼は、女性のほうが強い家庭が理想的だと話す。

「今は第一が仕事。あの、僕の電話番号と住所を載せていただいて、それでもいいって方がいればお手紙を投函してください……(笑い)」

撮影/廣瀬靖士