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 子どもが被害者となる犯罪が後を絶たない。埼玉県朝霞市で行方不明だった女子中学生が今年3月、約2年ぶりに保護された事件は記憶に新しい。寺内樺風容疑者が少女を連れ去った手口はあまりに巧妙だった。

 まずは、ネットの地図アプリで田舎すぎず都会すぎない朝霞市を選び、市内の中学校から1人で帰る少女を見つけて後をつける。自宅近くで少女のフルネームを知って声をかけると、「お父さんとお母さんが離婚するので、弁護士が君を保護する」と言葉巧みに車に乗せて連れ去ったのだ。

 自分の欲望のために、当時13歳だった少女を2年にわたってひとり暮らしの自宅に監禁した寺内容疑者。未成年者略取・誘拐罪の量刑は「3か月以上7年以下の懲役」にすぎない。子を持つ親たちの多くが憤りや戦慄を覚えたに違いない。

 このような凶悪犯罪もさることながら、子どもを狙う犯罪は、未遂や水面下のものを含めると膨大な数にのぼる。

 警察庁『平成27年の犯罪情勢』によると、子ども(19歳以下)が被害者となった犯罪被害件数は、15万1644件。うち高校生5万9754件、中学生3万849件、小学生1万4915件、未就学児494件。また、子どもが被害者となる割合が高い罪種は1位:略取・誘拐※(77.5%)、2位:強制わいせつ(48.8%)、3位:公然わいせつ(47.3%)、4位:強姦(37.0%)、5位:恐喝(33.5%)となっている。

(※)略取は暴行や脅迫によって、誘拐はだましたり誘惑したりして、連れ去ること。ここではあわせて“連れ去り”としている。

 加えて内閣府の昨年度の調査では小学生の3割台後半、中学生の5割強、高校生の9割台後半が自らの携帯電話やスマホでインターネットを活用しており、ネット上のトラブルに巻き込まれる危険性も高まるばかりだ。

 特に、親や教師の目が届きにくい夏休み期間を含む7~10月は、子どもが被害者になる犯罪が増える時期。最後に、1年前の夏、子どもたちが被害にあった事件のニュースを紹介する。この夏、このような恐ろしい犯罪から可愛いわが子・孫を守るため、まずは「大人が知っておくこと」、そして「未然に防ぐこと」が大事だ。

 週刊女性PRIMEでは、16日と17日に公開する4本の記事で「凶悪犯罪から子どもを守る方法」について特集する。

《昨年の夏、子どもが被害者となった事件を覚えていますか?》

●寝屋川市の中1男女が殺害(大阪)

 当時中学1年の平田奈津美さん(13)と星野凌斗さん(12)が8月13日早朝、京阪寝屋川市駅前の防犯カメラに映ったのを最後に行方不明になり、遺体で発見された。2人とも顔などに粘着テープを巻かれていた。平田さんの死因は窒息、星野さんは不詳。平田さん、星野さんに対する殺人の罪で逮捕、起訴された山田浩二被告(46)の初公判が待たれる。

●少女強姦した疑いで少年逮捕(神奈川)

 当時中学1年の女子生徒(12)に自宅でみだらな行為をして下半身にケガを負わせたとする強姦致傷の疑いで、横浜市内に住む中学3年の男子生徒(14)を逮捕した。 同署によると、2人は同7月、無料通信アプリ「LINE」を通じて知り合い、事件当日に初めて会ったという。 女子生徒が被害を届け出て発覚した。

●スマホや保険証取り上げ16歳少女を監禁、男3人逮捕(東京)

 少女(16)をアパートに閉じ込めたとして監禁容疑で容疑者(20)ら男3人を逮捕。少女を都内のホテルで売春させていたとみられ、同署が児童福祉法違反の疑いもあるとみて、詳しい経緯を調べている。容疑者らは5月ごろに友人の紹介で少女と知り合い、アパートで同居。少女のスマホや保険証などを取り上げたうえで、出会い系アプリで客を募り、都内ホテルで1回約2万円で売春させていたという。

●商業施設で女児盗撮、480人の映像(京都)

 京都市の商業施設内の試着室で、当時小学1年の女児(7)ら2人が着替える様子をデジタルカメラで撮影した疑い。男はほかにも商業施設内で、動画撮影しながら6~9歳の女児3人の下半身を触り、小学4年の女児(9)のスカート内を盗撮するなどしたとして強制わいせつ容疑などで逮捕、送検されていた。「抵抗せず、周囲に保護者のいない女児を狙った」などと供述したという。自宅にあったパソコンからはスカート内を盗撮されたとみられる女児480人の映像が確認された。

イラスト/キタダイマユ