koureisha0331

 近年、暴走した高齢者が事件を起こす事例が目立つ。人生経験豊富なはずの高齢者が、公共の場でわれを忘れて“ブチ切れ”てしまうのはなぜなのか?

 「ポイ捨て禁止」という看板が立っている公園で、75歳の男は平気で吸い終わったタバコをポイ捨て。それを見かけた小学1年生が、「捨てたらあかんのに」と注意したところ、老人は逆ギレした。

 孫ほど年の離れた子どもの首を絞めたり、服を引っ張ったりした暴行容疑で逮捕された。取り調べでの言い分は、ズバリ「腹が立ったから」。

 分別のある大人がやらかすとは思えないこの事件は、3月20日、兵庫県加古川市の公園で起こった。

 報じられることが増えた、激高する高齢者の犯罪。そんなことで腹を立てるのか、と思うほど小さな理由で危害を加え、自分の人生も棒に振る。

 農作業を手伝わないから、という理由で80歳の妹を殴り殺した83歳の男性、ベビーカーが邪魔で腹が立ったからと、すれ違いざまに乗っていた1歳児の頭を殴った64歳の男性。

 また、行きつけの喫茶店の店員にラブレターを渡したところ読まずに返されたから「殺してやる」などと脅迫した78歳の男性……。驚くほど低い、怒りの沸点だ。

 1年間に発生した駅員などへの暴力行為をまとめた「鉄道係員に対する暴力行為の件数・発生状況について」(2014年度)でも、加害者年齢トップは60代以上。5年連続という不名誉な記録だ。全体の2割以上を占める。

 事件化しないまでも、“ブチ切れ高齢者”が、あちらこちらで被害をまき散らしている。

「“いつまで待たせるんだ!”と突然、大声で怒鳴り始める高齢のお客様はたまにいらっしゃいますが、70歳くらいの品のいい女性が、“どれだけ待たせれば気がすむの!”と、杖で同僚の足を叩いたことがありました。あれは怖かった」(銀行の窓口担当の女性)

 期限切れ割引チラシを持参した70歳前後の女性客に困り果てたというのは、百貨店の装飾品売り場の女性(30)だ。

「使えないと丁寧にお断りしたのですが、“期限の日にちが見えにくいのが悪い”と激高し、15分以上わめき散らし“客商売なのになっていない”“せっかく買おうとして来ているのに、その態度か”と、ののしられました」

 埒が明かず、警備員に助けを求めたという。看護師の女性(26)は、男性の入院患者同士のいさかいにアキレ果てた。

「お気に入りの看護師がかぶっている60代と70代の患者さんが、どちらかがその看護師と話すたびに悪口を言い合っていました。取っ組み合いが始まりそうになったので、部屋を移動させました」