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 さまざまに予測される地震について、危険性が高い原発はどこか。武蔵野学院大学の島村英紀特任教授(地球物理学)は「浜岡原発です。東海地震、南海トラフ地震などの震源域とされるエリアの真上に立っています」と指摘する。

 大飯原発や高浜原発の運転差し止め仮処分を勝ち取ったさくら共同法律事務所(東京)の河合弘之弁護士は次のように話す。

「浜岡原発は防波堤を設けていますが、原子力規制委員会の津波審査ガイドを分析すると、津波の高さを最低42メートル見積もる必要がある。現在の高さは22メートル。防波堤が砕け、押し流されてもおかしくない。原子力建屋に激突する可能性もあります」(河合弁護士)

 噴火被害も考慮しなければならない。島村特任教授によると、“南海トラフ地震の先祖”といわれる1707年の宝永地震の49日後に富士山が大噴火した。わずか2時間で120キロメートル離れた江戸にも火山灰が積もった。

 同規模の噴火があった場合、火山灰はより遠い房総半島まで襲うとする予測がある。

「おもな活火山から半径160キロメートルの円を描いて中に原発がないか調べたことがありますが、すべての原発が円内におさまってしまいました。つまり、どの活火山が噴火しても原発に影響があるといえるでしょう」(島村特任教授)

 リスクが大きいのは浜岡原発だけではない。さくら共同法律事務所で河合弁護士とタッグを組む甫守一樹弁護士は、こう指摘する。

「若狭湾周辺は原発密集地帯ですので、1基がやられて無人になると、たとえ他の原発が運転していなくてもリスクは高まるはず。真南から風が吹かない限り、陸地が完全に汚染される地域です」

 若狭湾近くには近畿の水瓶といわれる琵琶湖がある。放射能が風に乗って、湖を汚染する危険性がある。

 河合弁護士は、こう続ける。

「琵琶湖の水を飲んでいる約1500万人の生活が脅かされます。京都や奈良にある世界遺産には誰も立ち寄れなくなり、近畿の経済圏はメチャメチャになります」