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 国が発達障害者支援法を改正して支援に乗り出すなど、社会問題となっているADHD。「時間がないのに用事を詰めすぎる」「なかなか決断できず、結果的に衝動的な判断をしてしまう」意外と身近なADHD、この機会にぜひ理解を深めてみては。

 もともと発達障害は男性に多いといわれ、その数は女性の数倍という説も。だが近年、女性の発達障害は見逃されていただけで、実際はもっと多くの当事者がいると注目されている。

 発達障害の臨床経験が豊富な『どんぐり発達クリニック』の宮尾益知先生は、こう話す。

「発達障害は男女によって特徴に違いがあり、男子のほうがわかりやすく、診断基準も男性のケースが基本になっています。ADHDの場合、女性は幼少期の多動性や衝動性が目立たないため、見過ごされることが多かった」

 例えば、女の子は授業中にウロウロすることがあまりなく、おしゃべりや予定をいっぱい詰め込むのが特徴で、それほど問題にならない。けれども、大人になれば、仕事上のミスで職場に居づらくなったり、家庭で段取りよく家事をこなすことを求められて落ち込み、人によっては心身の不調をきたしてしまう。

 また、臨床心理士で、ADHDを持つ人々の支援のためにさまざまな活動を行うNPO法人・えじそんくらぶを立ち上げた高山恵子さんによれば、女性のADHDの症状は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が低下する生理前、産後、更年期に悪化する可能性があるといわれているそう。

 心に留めておいて、失敗や気分の落ち込みがひどくても、あまり気にしないようにしたいもの。

 ここでは、女性ならではのADHDの特徴をピックアップ。当てはまることが多ければ、1度、医療機関などで相談してみては?

【部屋の片づけや家事のやりくりが苦手】

 ADHDの女性の特徴として、よく知られているのが片づけられないこと。時間内に物事をうまくこなすのが苦手で、不器用な人も多いので、家事のやりくりが大変。

【用事を詰め込みすぎて、時間にルーズに】

 予定を立てて行動するのが苦手で、決まった時間に終わりそうもないほど用事を詰め込む。しかも、移動の所要時間に余裕を持たず出かけるので、結局、遅刻が多くなり時間にルーズのレッテルが……。

【退職、結婚などを衝動的に決断する】

 思いついたことをすぐに話したり、行動に移したいので、結婚や離婚、退職といった重要なことまで衝動的に判断してしまいがち。相手にも決断を迫って、結局あとで悔やむ。

【書類の記入もれ、出し忘れが多い】

 子どものころは家族や教師のサポートで、事務的なミスもカバーできるが、職場での書類記入や提出のミスは一大事。失敗続きで居づらくなって、職場を転々としがち。

【おしゃべりで、人の話に割って入る】

 女性の場合、多動性は発言に出やすい。人の話を聞かず、時にはさえぎるようにしゃべり始めて長々と話し続けるため、友達から“自己チュー”と非難されてしまう。

【つい衝動買いをしてしまう】

 フラリとお店に寄って「ステキ!」と思うものが目に入ったら、迷いなくお買い上げ。家に帰って部屋を見ると、すでに似たようなものを持っていてガッカリすることも多い。

【忘れ物、なくし物、作業ミスなどが多い】

 一生懸命努力していても忘れっぽく、物事に注意を向けても、それを維持したり切り替えるのが難しい。不注意によるミスが多く、やるべきことを忘れ、大事なものをよくなくす。

【睡眠が浅く、昼間はいつも眠そう】

 ADHDの女性によく見られるのが、昼間はいつも眠そうにしていて、夜は考え込んでしまってなかなか眠れず、睡眠も浅い。職場などでは、ますますやる気がないと見られるおそれも。

【待っていることが苦手で、落ち着かない】

 あまり多動性が目立たない女性も、じっと静かに待つのは苦手。横入りはしないまでも、カタカタと指先を動かしたり、貧乏揺すりをして、自分も周囲も落ち着かない気分に。

【子育てでイライラしやすく、叱りすぎる】

 子どもに自分と同じ“短所”を見つけ、気分がイライラ。叱り始めると日ごろの不満まで口に出て、ときにはかんしゃくを起こして怒鳴って後悔。子どもにやさしくできず、子育てに自信ナシ……。