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 国立西洋美術館が、7月中に世界遺産に正式決定されることが濃厚だという。国内では20番目となる世界遺産の誕生を記念して、美術館や博物館の魅力をアート通有名人に聞いてみた。

 『とくダネ!』MC出演中の女優・菊川怜さんは東京大学工学部建築学科卒。国立西洋美術館を手がけたル・コルビュジエのすごさを語ってくれた。

■ル・コルビュジエという才能を知ってほしい

 建築学科での最初の課題は、コルビュジエの『サヴォア邸』(フランス)の平面図のトレース(書き写し)でした。建築を学ぶ人で知らない人は、まずいません。近代建築における、斬新な概念を生み出したすごい人です。

 “住宅は、住むための機械である”とい う有名な言葉を残し、“モジュール”という人間の身体の大きさに合った高さやサイズ感の提案も彼によるもの。コルビュジエの建築物を見るときは“近代建築 の五原則(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立体)”という大きな特徴を知っておくといいかもしれません。

 なかでも私は、スイスにある『レマン湖畔の小さな家』が好きです。わずか18坪の平屋なんですが、コルビュジエが晩年、愛する両親の終の棲家として設計しま した。連続窓からの景色がすごくきれいで。住む人がどうしたら心地よく幸せに暮らせるか、愛情たっぷりに考えられた家なんです。

 国立西洋美術館の世界遺産入りを機に、多くの人に、コルビュジエという才能を知ってもらえるのかなと思います。