全国の大学、会社から「講義をやって」とひっぱりだこの芸人・キングコング西野亮廣さん。“仕事の広げ方”“エンタメの仕掛け方”“イベント集客”などのノウハウを型破りな視点で語り、聴衆の度肝を抜いている。
「テレビの仕事をやめる」と宣言してから10年――。漫才師、絵本作家、イベンター、校長、村長など肩書を自由に飛び越え、上場企業の顧問にも就任しちゃった西野さん。どうやって“好きな仕事だけが舞い込む働き方”を手に入れたのか。その秘密を綴った異色のビジネス書『魔法のコンパス 道なき道の歩き方』の一部を、8月12日の発売に先駆けて特別掲載していきます。(毎週金曜更新)
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 さて。「問い」が見つかったら、次は、「問い」の答え方。

 その方法は、人それぞれあるとは思うけど、僕は常に“ヨットのように進む”ことを心掛けている。はてさて、どういうことか?

 ヨットは風を利用して前に進んでいます。

 追い風の時はもちろん、向かい風であろうと、帆の傾け方次第で前に進むことができる。

 やっかいなのは「無風状態」の時で、この時ばかりはニッチもサッチもいかず、手漕ぎでエッサホイサしなくちゃいけない。大変な労力です。

 これを自分の人生や企画に置き換えてみた時に、ヨットというのは自分自身で、風は、その時の状況。

 追い風は「背が高い」「頭が良い」「運動神経が良い」「お金持ち」といった才能であり、向かい風は「背が低い」「頭が悪い」「運動音痴」「貧乏」とか……まあ、ザックリ言ってしまえば、「嫌なこと」だね。「コンプレックス」と呼ぶ場合もある。

 多くの人は、この「嫌なこと」を消そうとする。理由は「だって嫌だから」。

 気持ちはすご~く分かるんだけど、どっこい、ヨットの理屈で考えると、その「嫌なこと」は向かい風で、やはりこれも前に進む力となる。

 感情に任せて「嫌なこと」を消した先に何が待っているかというと、「無風状態」で、実は、その状態が一番やっかいだ。何の後押しもなく、手漕ぎでエッサホイサといかないといけなくなるから。

 どんなことを仕掛ける時も、この「向かい風も追い風」という感覚は常に持っておいたほうがいいと思う。それだけで、自分がどこに力を入れたらよいか、が明確になってくる。

 とにもかくにも向かい風を消すなんて、もったいない。

 どの方向からであろうと、そこに風が吹いていれば「ごちそうさま」で、基本的に僕らには常に追い風しか吹いていない。

 こんなにラッキーなことはない。そいつを使っちゃおうぜ、という話です。

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《プロフィール》
西野亮廣(にしの・あきひろ) 1980年、兵庫県生まれ。1999年、梶原雄太と漫才コンビ「キングコング」を結成。活動はお笑いだけにとどまらず、3冊の絵本執筆、ソロトークライブや舞台の脚本執筆を手がけ、海外でも個展やライブ活動を行う。また、2015年には“世界の恥”と言われた渋谷のハロウィン翌日のゴミ問題の娯楽化を提案。区長や一部企業、約500人の一般人を巻き込む異例の課題解決法が評価され、広告賞を受賞した。その他、クリエーター顔負けの「街づくり企画」、「世界一楽しい学校作り」など未来を見据えたエンタメを生み出し、注目を集めている。2016年、東証マザーズ上場企業『株式会社クラウドワークス』の“デタラメ顧問”に就任。

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