乙姫への思いを三線にのせて歌う『海の声』は老若男女に大人気

音楽番組に引っ張りだこ

 松田翔太、濱田岳とともにauのコマーシャルで“三太郎”のひとりである浦島太郎を演じているのが、桐谷健太。

《海の~声が~ 知り~たぁ~くて~ 君の~声を~~~ 探しぃてる~》

 心地よい三線を弾きながら、菜々緒演じる乙姫への愛を歌う『海の声』は、'16年上半期のシングルダウンロードランキングで1位に輝いている。第一興商が発表した“海ソング”ランキングでも、1位を獲得。日本テレビ系『THE MUSIC DAY 夏のはじまり。』、TBS系『音楽の日』、フジテレビ系『2016 FNSうたの夏まつり ~海の日スペシャル~』といった音楽番組にも引っ張りだこで、今まさに、“浦ちゃん”が夏を席巻しているのだ。

「22歳でデビューし、映画やドラマで活躍。TBS系のドキュメンタリー番組『世界ウルルン滞在記』に3度も出演するなど、バラエティーでも明るくてアツい人柄が重宝されています。とても人懐っこくもあり、'07年に同番組でアフリカのギニアビサウ共和国を訪れた際は、現地の女性2人から求愛を受けていましたよ」(テレビ局関係者)

 プライベートでは'14年に結婚し、今は2児の父。そんな彼の魅力を知らないなんて、“浦島太郎”って呼ばれちゃうかも!?

『グーニーズ』を観て衝撃を受ける

 '80年に大阪府に生まれた幼き日の桐谷は、保育園に上がったころにはすでに役者を志していたという。当時を振り返り、'10年の雑誌のインタビューでは

《『グーニーズ』を観たときに、映画自体にも感動しましたけど、それほど年の離れていない少年が、俺の大好きな冒険をしてて、めちゃくちゃ目立ってることがあまりに衝撃的で。「こんなヤツらがおんのや!」と悔しくて、その日の晩ごはんは喉を通りませんでした》

 と、語っている。漠然と俳優を夢見ていた桐谷少年だが、中学2年生のときに転機が。

《職業のしおりみたいなものが配られて、そこに「俳優」の文字を見た途端に僕、「コホォ~、コホォ~」って過呼吸になってもうて》

 と、夢と向き合うことを決意。高校時代には、友人と一緒に雑誌を作ってしまった。

「“何で俺が雑誌の表紙じゃないねん!”と、自分が主役の雑誌『KEN'S non‐no』を1冊だけ作成。印刷は、当時、印刷所に勤めていた友人の父親に頼み込んだそう。表紙だけを大量に印刷し、3日間学校に貼っていたけれど、持ち帰られずにほとんど残ってしまったとか(笑)。一緒に雑誌を作った同級生は現在、桐谷さんのスタイリストとして活動しています」(芸能プロ関係者)

『ゲロッパ!』でスクリーンデビュー

 大学進学を機に、東京に上京するが、4~5年は仕事に恵まれなかった。'02年に初のレギュラードラマ『九龍で会いましょう』(テレビ朝日系)に出演が決まると、翌年、『ゲロッパ!』でスクリーンデビューを果たす。その際に出会ったのが、彼が師と仰ぐ井筒和幸監督だ。

「当時から桐谷さんは人懐っこく、その人柄が井筒さんのお眼鏡にかない、映画出演が決まりました。役者を罵倒することもある監督ですが、桐谷さんに関しては“ムチャ振り”も多かった。“なんか面白いことやれ。はい本番よーい!”みたいな。考える隙もありませんでしたが、それゆえ直感力が磨かれたのだと思います」(映画製作スタッフ)

 井筒監督は今でも、“ウチの息子は最高だ”と桐谷を寵愛している。

『ROOKIES』出演後、CMオファーが殺到するが

 桐谷のドラマでの出世作といえば、'08年に放送されたTBS系ドラマ『ROOKIES』。超ポジティブな平塚という高校生を演じていたが、放送後はそのイメージがつくのを懸念していたという。

「桐谷さんは、『パッチギ!』では1か月半かけて体重を15kg増やし、撮影後には1か月半かけて15kg元に戻すというように、役作りに余念がない人なんです。だからこそ、役をずっと引きずるのはよくないと考えていたそう。『ROOKIES』出演後に20件以上あったCMのオファーも断ったんだとか」(前出・芸能プロ関係者)

 当時共演した佐藤健とは、'10年公開の映画『BECK』、'15年のTBS系ドラマ『天皇の料理番』、同年の映画『バクマン。』で共演しており、一緒に飲みに行くこともあるそう。

「『バクマン。』の打ち上げでも、佐藤さんと桐谷さんの2人だけ、1次会から参加していて、仲よさげに談笑していましたよ。2次会ではほかのキャストを差し置いて、2人だけで笑いながら話していたりもしました」(前出・映画製作スタッフ)

『香音─KANON─』には作詞曲も収録予定

 根が明るい桐谷だから、演じるCMキャラクター『浦ちゃん』も老若男女に幅広く受け入れられている。

「しかも三線は、自分で弾いているんです。桐谷さんは、音楽の才能もバツグン。『BECK』では吹き替えなしでラップ・ボーカルを披露。映画『ソラニン』でも、生でドラムの演奏を行いました」(前出・映画製作スタッフ)

『BECK』では“この役は自分が演じたい!”と監督にビデオレターで自らのラップを送りつけたほどで、音楽に対しても柔軟だったという。

「鑑賞する音楽の幅がかなり広く、クラシックを聴くかと思えばブルーハーツを聴くことも」(音楽専門誌ライター)

 '13年には、民放初主演を果たしたドラマ『Y・O・U やまびこ音楽同好会』(関西テレビ)で演じた河野勇作名義で、THE イナズマ戦隊とコラボして『喜びの歌』をリリースしている。

「初めてギターに挑戦し、コードのFを弾けたことに大喜びしていたといいます。9月28日に発売されるファーストアルバム『香音─KANON─』には『海の声』や『喜びの歌』をはじめ、彼の作詞曲が収録されるそうです」(前出・音楽専門誌ライター)