「被爆2世としての自覚を持つ人は少ない」と語る平野事務局長

 親世代が被爆した「被爆2世」の援護策を求めて集団訴訟の準備が進められている。広島や長崎などに在住する被爆2世で構成される「全国被爆二世団体連絡協議会」が被爆の次世代への影響を訴訟によって問う。

 平野克博事務局長は「被爆者に対しては『被爆者援護法』での施策があります。しかし、(胎児被爆以外の)被爆2世にはありません。また、健康調査をしていないので、何が被爆の影響なのかわかりません。健康不安を抱えています」と話す。

 1995年7月に「被爆者援護法」が施行されて以降、被爆者に対する施策は充実が図られてきた。対象は直接被爆をした人(直接被爆者)、原爆投下後に広島や長崎の被爆地域に入った人(入市被爆者)、食事などで内部被爆をした人、または胎内にいた人だ。

 これらの四者には「被爆者健康手帳」が交付され、健康診断が行われたり、医療費が給付される。「原爆症」と認められると、医療特別手当が出される。

 被爆による象徴的な病気は「がん」だが、一定の年齢になると、加齢によるとみなされてしまう。厚生労働省は、被爆2世に対して、被爆との因果関係を認めていない。

「(援護法の改正案で)被爆2世も援護策の対象になることが検討され、国会議員と勉強会もしました。参議院では改正案が通過したこともありました。しかし衆議院ではかないませんでした」(平野事務局長)

 被爆2世としての問題が明らかでないのは調査がなされていないからだ。

 今後、二世協では弁護団を結成し、問題を明確にしていくことにしている。国連の人権理事会にも訪問団を派遣し、問題提起する予定だ。