教師によるわいせつ行為などの事件

 男児の全裸撮影会、就寝中の生徒にキス、男子高校生を盗撮し御用など、男性教師による男子生徒へのわいせつ事件が後を絶たない(*一部、不適切な表現がありましたので、文言を修正しました)。

 社会心理学を専門とし、スクールカウンセラーも行う新潟青陵大学の碓井真史教授は、

「私たちが生活していて、あの人は男の子の裸に興味があるなんて、わかりようがないですよね。だからこそ、本人が抑制していくことです。そういう素養があると自覚する人は、教師などの仕事に就かないほうが無難ですね」

 と自己抑制を促す。性犯罪は、周囲にまじめと映る教師でも、聖職者といわれる宗教家でも起こすこともある犯罪と碓井教授は指摘し、

「誰しも行う可能性があるということを考え、そういう行為が行われないようにするチェック体制を学校側が整えていくことが大切です」

教師と生徒というのは、強者と弱者の関係

 スクールセクハラの防止と被害者支援を行うNPO法人スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワークの亀井明子代表は、最近の被害状況に関して、

「教師の質が落ちたというよりは、昔からあるものが表面化してきた。ただ、それも氷山の一角で、潜在的なセクハラはもっとたくさんあるはずです」

 スクールセクハラには学校という構造の問題が絡むという。

「生徒が、先生にちょっと話があるから残りなさいとか、後で来なさい、と言われて、行かない選択ができますか? 自分が生徒だったとき、どうだったかを考えてみてください。難しいですよね。それだけ教師は、絶対的な存在なんです。教師と生徒というのは、強者と弱者の関係です」

 亀井代表は、問題の根源のひとつは「教師の、人の性に対する人権意識が乏しいことが問題です」と指摘し、防止策を提示する。

「被害者の立場や心理状態を理解する研修が必要です。そもそもセクハラの概念すら理解していない人も少なくない。被害者の気持ちや何をしたらセクハラなのかがわからなければ、気づくことなどできませんし、対応も間違える。遠回りですが性暴力について教員、生徒含めて教育していくことが大切なんです」

被害者の子どもは話したがっている

 被害を受けた子どもは、学校に通い続けなければならない。先生がやることは間違いないと、黙って耐えることを選ぶ子どもがいないとは、誰にも断言できない。

「海外では生徒手帳に、こういうことをされたら相談をしましょう、と相談場所まで書いてある。日本も同じように、生徒手帳なりに示すべきです。何よりも子どもが相談できる場所を知ることが大切です」(前出・亀井代表)

 親としてできることは、子どもの会話や表情に細心の注意を払い被害を食い止めること。

 前出の碓井教授は、

「多くの場合、被害者の子どもは話したがっているんです。親なら一緒に買い物に行くでもいいし、ドライブでもいい。そのときに、“実は”と話が出ることもあります」

 と、子どもの変化に親が気づくことの重要性を説く。

 文部科学省の調査によれば、わいせつ行為などにより処分を受けた教職員の総数は'14年は2年連続で最多の205人にのぼった。今回のケース以外にも、買春や直接触ったり、アダルト動画を見せる者も。

 子どもたちが衝動を抑えきれない教師のおもちゃにされないためにも、異変を察知する役割を親は担う。