晩婚化が叫ばれて久しいが、なぜ結婚しなくなってしまったのか? 結婚情報産業など“婚活”はさまざまな形で行われている。結婚したいのに、しない・できない実情を短期シリーズで探る。【“結婚ためらい”症候群リアルボイス 連載最終回】

9割弱の独身者が「結婚したい」

 結婚相談所、結婚情報センター、婚活バー、婚活居酒屋、婚活パーティー、婚活アプリと、婚活できる場所は多様化。

「恋愛もしくは結婚意向がある恋人のいない独身者は、約4人に1人が婚活サービスの利用意向があり、約6人に1人が利用経験がある」(リクルートブライダル総研調べ)というデータも出ている。

 ここに友達の紹介や合コンを加えたら、独身者は何らかの形で婚活を経験していることになるだろう。

 実際に国民生活保障・人口問題研究所の調査では9割弱の独身者たちが「いい人がいたら結婚したい」と回答しているのだ。しかし、結婚率はいっこうに上がっていない。

 短期連載最終回は、本気で結婚をしたいのに結婚できない婚活者が、どうしたら結婚できるのかを提案したい。

結婚は30から難しくなり35を越えると至難のワザ

表1

 表1を見てほしい。厚生労働省が発表している結婚平均年齢だが、男性が30・7歳、女性が29歳である(平成23年調べ)。さらに女性は29歳までに結婚する人が圧倒的に多く、35歳を過ぎるとグンと減っている。

 20代ならば結婚は比較的簡単にできるのだ。ところが30を越えると難しくなり、35を越えると至難のワザとなる。

 その理由は、20代のころは考え方が柔軟なうえに若さゆえの勢いがある。男性の条件にこだわる前に“好き”という気持ちを優先させて結婚へと進むことができる。

 ところが、30を越えて年を経ていくと、積み重ねてきた知識と経験が結婚相手を選ぶことを慎重にさせ、より条件を重要視するようになる。

 また素敵な男性は既婚者となっており、結婚候補者の絶対的人数も減ってくる。

 さらにアラフォーになると結婚できるのは、全体の1%程度となってしまう。なぜここまで厳しくなるのか。結婚できないアラフォーには、大きく3つのタイプがいる。

 20代のころに華やかな恋愛を繰り返していたが、結婚に踏み切れずに30歳を越えてしまった『恋多き女』タイプ。

 男顔負けに仕事をし、恋愛よりも仕事に没頭してきた『バリキャリ』タイプ。

 恋愛らしい恋愛をしたことがなく、男性経験もないままに30を越えてしまった『バージン』タイプ。

結婚できない3タイプのアラフォーへのトリセツ

結婚できないアラフォー女の傾向とは (写真はイメージです)

 では、この3タイプがどうしたら結婚へと近づけるのか。その方法を提示しよう。

 まず『恋多き女』タイプから。ここに属する女性たちは、美人でおしゃれでヘアメイクも上手。自分の見せ方を知っているし、年齢よりも若く見えることに自信を持っている。恋愛力も女力もある。

 それなのに結婚できないのは、20代のころ恋愛してきた男性の条件をそのまま今にシフトさせているからだ。

 このタイプの女性たちは、「男性の年齢は同世代。もしくは年下でもいい」という。「決して高望みをしているわけではない」と付け加えつつも、見た目や年収を平均以上に設定している(ハゲやデブは除外。年収は500万円以上など)。しかし、彼女たちが結婚相手にしたい男性たちは、もはやアラフォーは対象外。20代後半や30代前半の女性たちを見ている。

 このタイプのアラフォーは過去に男性にモテた栄光を捨て、男性の年齢や条件の幅をもっと広げたほうがいい。

 どうしても条件が譲れないのなら、結婚相談所やアプリなどのプロフィールを最初に提示する出会いではなく、婚活パーティーのような直接出会える場所で婚活することをおすすめする。実際に婚活パーティーでは、10歳近く離れた年上女性と年下男性のカップルが誕生することもある。

 では、『バリキャリ』で男と肩を並べて仕事をし、恋愛よりも仕事に没頭してきたタイプはどうしたらいいのか。

 このタイプは“男に負けたくない”という気持ちが強く、女性特有のやわらかな物腰が欠如している。しゃべり方も「つまり」「いわゆる」などを多用して理論武装しており、男性から見ると女として可愛げがない。恋愛してきた数も少ないので色気もない。

 彼女たちは、婚活できる場所にどんどん出ていって数多く出会い、恋愛スイッチをオンにすることから始めよう。そこで男性を好きになったら男性が入ってこられる“隙”をうまく作っていくことが結婚相手を見つける近道だ。

 最後に、恋愛らしい恋愛をしたことがなく、男性経験もないままに30を越えてしまった『バージン』タイプ

表2

 実は今の時代、男性も女性も異性の性的経験がないままに30を越えてしまった人が意外に多いのだ(表2参照)。

 2010年の国立社会保障・人口問題研究所の『第14回出生動向基本調査』では、18〜34歳の男女の性の未経験は男性36・2%、女性38・7%であると発表している。

 しかし悲観することはない。男性には“処女神話”があり、自分よりも性的経験の豊富な女性よりもむしろ未経験の女性を好む傾向にある。

 問題は恋愛のやり方を知らないこと。恋愛することに自信が持てず、積極的に動くことができない。男性の気持ちが読めずに、ひとりよがりの行動をしてしまうので、恋愛がうまくいかないことが多い。

 男性経験のない(または極端に少ない)女性には、結婚相談所や結婚情報センターのような場所での出会いがおすすめだ。出会うのは“結婚したい”と思って登録をしている男性たちだし、お付き合いに悩んだときは仲人やアドバイザーが相談に乗ってくれる。

 まずはいくつかのお見合いをして、男性と1対1で話すことに慣れる。交際に入ったら、食事に行ったりデートをしたりしてコミュニケーションを図る経験を積んでいく。お見合い市場という安全地帯の中で、結婚を前提にした恋愛のケーススタディーを重ねていくことで、結婚への道が開けていく。

婚活の落とし穴は男性からの騙し

 さらに、3タイプの女性たちが共通して注意すべきことを記そう。

 まず、身分確認の甘い婚活パーティーに参加する場合は細心の注意を払うこと。免許証や保険証の提示だけでは、男性が独身かどうかわからない。また、誰でも登録のできる婚活アプリでの出会いも同様だ。

 こうした婚活場所には、既婚者、遊び目的、高額商品を買わせるデート商法目的の男性が紛れ込んでいることもある。そうした男性たちは、女性の扱いに手慣れているし、“結婚したい”という気持ちにつけこむことが巧みだ。

 もちろん、婚活バーや婚活居酒屋などの出会いにも、そうした男性たちは紛れ込んでいるので注意をしなければならない。恋愛スイッチをオンにしながらも、男性を冷静に見極めていく目が必要だ。

今や割り勘をNGというような時代ではない

今の時代、アラフォーで「結婚できる」女性像とは? (写真はイメージです)

 また結婚相手に、これまで理想とされてきたステレオタイプの男性像をあてはめないことも大事だ。

 親の世代とは違い、今や女性も社会の中で男性と対等に肩を並べて働く時代である。結婚したら家事も子育ても分担。イクメンという言葉も生まれている。

 しかし、その前段階の恋愛においては、仕事ができる男、リードできる男、奢る男が“モテる”という昔ながらの認識がまだ崩れていない。

 非正規雇用者が拡大し、正規雇用者の年収がさして上がらないのが今の時代だ。デート代の負担をすべて相手に強いていたら、婚活市場に上がれる男性は極端に少なくなる。

 結婚を永久就職と考え、仕事を辞めたい逃げ道にしていたら、その女性の人生を引き受けることのできる経済力のある男性は、ほんのひと握りになってしまう。

 デートは割り勘、結婚後は女性も働くことが当たり前だととらえなければ、今の時代、結婚するのは難しい。

 結婚難の現代に結婚できるのは、自身の年齢が婚活市場の中でどこに位置づけされているかをしっかりと把握していて、時代に合わせた柔軟な考え方ができる女性だ。

 こうした女性たちは、男性と対峙したときに相手を減点法ではなく加点法で見ることができる。

「デートをしたら、店も決められない優柔不断な人だった」とはいわず、

「男性は優柔不断なくらいのほうが、結婚してから私が自由に家庭を仕切ることができていい」

「デートは居酒屋やチェーン店系列のお店ばかり。味覚が育っていない」とは考えず、「彼なら私が手抜き料理を作っても“おいしい”と言って食べてくれそう」

「まじめすぎて魅力がない」と切り捨てるのではなく、「彼のようなタイプなら浮気もしないし家庭も大事にしてくれるはず」などなど……。

 もはや女性が賢くなって、未熟な男性を育ててこそ、結婚が現実のものとなるのだ。

 “なぜ婚活しても結婚できないのか”と思っている女性たちは、今掲げている理想の結婚観を1度リセットして、今の時代に合った結婚観に書き換えてほしい。

 最後に、「妥協してまで結婚したくない」と言っている女性たちに告ぐ。

「妥協」と「妥当」は違うのだ。さらに結婚は「選ぶこと」と「選ばれること」がイコールにならなければ成立しない、という単純なルールをもう1度心に刻んでほしい。

<プロフィール>
取材・文/鎌田れい
21歳よりティーンズ雑誌のライターとして活動を始める。鎌田絵里のペンネームで恋愛ライトノベルズを18冊、恋愛エッセイや婚活本の出版も。芸能人や文化人の記事や書籍も執筆。自身が婚期を逃し、必死の婚活の末、36歳で結婚。40歳で双子の母に。その経験を生かして、恋活・婚活ライターとして活動中。ミッションは、生涯未婚率の低下と少子化の歯止め。