『ジムノ ペディに乱れる』で主演を務めた板尾創路 撮影/吉岡竜紀

 日活ロマンポルノ作品『ジムノ ペディに乱れる』で主演を務めた板尾創路。

「僕が思春期だったころは裸を見るにはポルノ映画ぐらいしかなかったので、何駅も先の映画館に行って見ていましたね。だからオファーをいただいたときはうれしかったです」

 4年前、映画『私の奴隷になりなさい』では、あの壇蜜と激しいカラミも演じているだけに、躊躇はなかったという。

「立場的に出たくても出られない人もいると思いますけど、僕は特にそんなNGとかはないので」

 今回の出演にあたり、身体づくりなど準備したことは?

「僕がセクシーに見せる必要もないので、特になかったです。年相応の役だったし、だらしない部分はだらしないままでいいかって」

 撮りたい映画が撮れず、自暴自棄になってしまう映画監督をリアルに演じている。

「監督やそのスタッフが映画業界を描いているから、誇張しすぎず自然と深みは出た気がします」

 カッコいいわけではないが、なぜか女性にモテモテな主人公だが、男性から見てモテる理由はどこだと思います?

「小汚い犬っぽいところですかね。お腹が減っていそうだから、餌をあげたくなるみたいな(笑)。こういう人はモテますよね」

 劇中ではさまざまな女性たちと肌を重ねている。

「AVは本気にならないとダメだと思うけど、映画だと何テイクも撮影するから、濡れ場のシーンは感情移入が難しくて、そんな気分にはならなかったです。いろんなことを考えながら撮影をするし、前張りもしているから逆にアソコは縮こまりました(笑)」

 全盛期に見ていた世代だけに、ロマンポルノへの思いも強い。

「女優の裸がきれいに見えるようには気を遣いました。ロマンポルノといえばやっぱり濡れ場。今回出演した女優の中には、親などに脱ぐことを言えないまま出演した子もいるなど、かなり覚悟を持って演じたと聞きました。だから僕も適当にはできないな、きれいに映してあげなきゃなって、精いっぱいやらせてもらいました」

 板尾が性に目覚めたきっけかは何だったのだろう。

「映画ですね。子どものころHなものは映画でしか見られなかったので。けっこうな濡れ場でも、映画だと表現として許されているので。今村昌平監督の『復讐するは我にあり』とか。大人の世界を見て衝撃を受けました」

人によってはコメディーにも見えるはず

板尾創路 撮影/吉岡竜紀

 『デスノート』の金子修介監督など、多くの才能を輩出したロマンポルノ。板尾自身、撮るほうにも興味があるそうだ。

「10分に1度濡れ場シーンを入れるといった決められたルールさえ守れば自由に撮れ、個性を出せる場だったからこそ、これまで大監督たちが育ったと思うんです。だから機会があれば撮ってみたいですね。でもテーマとかはまだ考えていないです。準備をしていくと、ろくなことがないので(笑)」

 お笑いとの共通点を聞くと、

「セックスって普通は人に見せるものではないから、客観的に見るとすごく滑稽なものだと思うんですよ。だから人によっては、この作品もコメディーにも見えるはず。実際、かつてのロマンポルノにはコメディー作品も多かったですしね。この作品を釜山国際映画祭で上映したときにも、会場からは笑いが起きていましたよ」

 この作品を撮った行定勲監督ほか、人気監督たちが、完全オリジナルの新作を撮りおろして話題の今回のプロジェクト。

「今回、こうして日活ロマンポルノという性の祭典が復活したので、お祭りに参加するような感覚で気軽に見てほしいですね。いい話だなって感じる人もいるだろうし、性的な欲が満たされる人もいるでしょうし。スクリーンで見ると面白さが増すと思うので、女性の読者のみなさんにも、ぜひ映画館に足を運んでいただきたいですね」

■ロマンポルノ・リブート・プロジェクト

 日活の成人映画レーベル「ロマンポルノ」の45周年を記念して、日本映画界の第一線で活躍する監督たちが新作ロマンポルノを手がけたプロジェクト。

(c)2016 日活

『ジムノペディに乱れる』
監督/行定勲、出演/板尾創路、芦那すみれ、岡村いずみ。仕事、名声、そして愛……すべてを失った映画監督の古谷が、たどり着いた先に見つけたものとは? 11月26日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開

『牝猫たち』
監督/白石和彌 出演/井端珠里、真上さつき、美知枝

『風に濡れた女』
監督/塩田明彦 出演/間宮夕貴、永岡佑

『ホワイトリリー』
監督/中田秀夫 出演/飛鳥凛、山口香緒方里

『アンチポルノ』
監督/園子温 出演/冨手麻妙