正統派の二枚目からどこかコミカルな役まで、懐の深い演技で魅了する上川隆也。12月3日放送のドラマ『検事の本懐』(テレビ朝日系・夜9時〜)では、硬骨の検事・佐方貞人役に挑戦する。今回が第3弾となる人気シリーズだ。

「1作目は検事を辞めて弁護士になった現在の佐方の物語。2作目からは、時間を過去に戻して、検事時代を演じています。描かれる時間が行き来しても佐方が変わらないのは、“犯した罪はまっとうに裁かれなければ”という信念があるから。今回は、揺らがない信念の由来が、父親とのエピソードや生きざまから明らかになるのが大きな見どころのひとつです」

 ドラマでは、代議士の贈収賄事件とともに、罪を背負ったまま獄中死した父親の謎から佐方のルーツが浮かび上がる。

「幸いなことに僕は今でも、自分の亡き父を尊敬しています。それは、父が厳しさも優しさも同時に持って、父親らしい毅然とした態度で僕と相対してくれた証なんだろうと思います。だから、主人公の佐方の心境は、僕にとっても納得のいくものとして受け止められるんです」

上川隆也 撮影/高梨俊浩

 今回、ともに捜査をする新パートナーの検察事務官・加東栞を演じるのは本仮屋ユイカ。

「撮影は夏の京都だったんですが、スーツで過ごすのはなかなかの居心地でした(笑)。でも、本仮屋さんはそういうことを一切口にすることなく、現場を心から楽しんでらっしゃいました。おかげで雰囲気も明るくなりましたし、とても助けられました」

 役者としても円熟味を増してきている上川に求められる役について聞くと、「まぁ、『君に届け』みたいな青春モノの話はもうきませんので(笑)」とジョークを交えながらも真剣な表情でこう答える。

「あきらめる役柄が増えていくのと同時に、演じることができる役柄も少しずつ増えていっている感覚があります。もし30代だったら『沈まぬ太陽』('16年)の恩地は今回のようにはできなかったでしょうし、この年代なりの経験や視野があってこそ得られた結果でしょう。その時々のスタンスや能力で、やれるだけのことをやっていきたいと思います」

『ドラマスペシャル「検事の本懐」』テレビ朝日系・12/3(土)夜9時〜

<京都でこれを満喫!>

「スタッフさんと一緒に、川床で食事をさせていただきました。“おととし、京都の川の水がずいぶん増えたときは、川床まで水がきたんです”などなど、お話をうかがいながらいただいたお料理は旬のものばかり。京都ならではの風情を心底満喫した瞬間でした」