正月恒例! 1月2日、3日に開催される、第93回箱根駅伝。テレビ解説でおなじみの碓井哲雄さん、かつて箱根路を走った経歴を持つ俳優・和田正人さんに気になるレースの行方を尋ねると……。

優勝候補の本命はズバリ、青山学院大。頭2つくらい、抜け出てますね。'16年は箱根をはじめ“学生三大駅伝”といわれる出雲駅伝、全日本大学駅伝でも優勝しています」(和田さん)

「1区から1度もトップを譲らず完全優勝した'16年ほどの強さはありませんが、エース・一色恭志選手(4年)が2区で先行すれば、独走態勢になる可能性も。'16年の優勝メンバーが6人残っていて、個人の持ちタイムを見ても、戦力はナンバーワン」(碓井さん)

青学大のエース・一色恭志選手の走りがカギ

待ったをかけるのは早稲田、山梨、東海?

 史上6校目の“箱根3連覇”を狙う青学大に、待ったをかけるのは? 2人がそろって挙げたのは早稲田大、山梨学院大、東海大。

早大、チャンスありますね。全日本では2位。アンカー勝負で敗れたとはいえ、7区まで首位をキープしてましたから」(和田さん)

主将の平和真選手(4年)が好調。新迫志希選手(1年)や永山博基選手(2年)もいい。全日本には主力の井戸浩貴選手(4年)や光延誠選手(3年)が出場していなかったので、調整がうまくいけば、6年ぶりの王座も見えてきます」(碓井さん)

 山梨学院大は出雲2位、全日本3位と着実に結果を残している。

大砲ドミニク・ニャイロ選手(2年)がいるので、ほかの選手がきちんと走れば頂点も狙えます」(碓井さん)

「上田健太選手(3年)ら全国高校駅伝の優勝メンバー('13年・山梨学院大学付属高校)がごっそり入学し、力をつけているので、おもしろい存在です」(和田さん)

 ちなみに上田選手は、山梨学院大・上田誠仁監督の息子だ。

山梨学院大の“大砲”ドミニク・ニャイロ選手

東海大も要注目。高校屈指のスーパールーキーが今年、たくさん入りましたから」(和田さん)

1年生の中でも、関颯人選手は出雲で区間賞。全日本は体調不良で不出場でしたが、箱根には調子を合わせてくるはず。鬼塚翔太選手、館澤亨次選手、松尾淳之介選手もいいです。台風の目になるかもしれません」(碓井さん)

関颯人選手など、期待の1年生を多く抱える東海大も注目

 かつて最強を誇った、東洋大や駒沢大は?

両校とも優勝は少し難しいでしょう。東洋大は口町亮選手(4年)、駒大は中谷圭佑選手(4年)が故障明け。もし、活躍できれば優勝争いに絡んでくるでしょうが……」(碓井さん)

東洋大の服部弾馬選手(4年)は注目。すごい走りをします」(和田さん)

10位までに入れるか?熾烈なシード権争い

持っていたシード権を失う危険がありそうなのは帝京大と順天堂大ですね。予選会を通過して出場する学校に力の差はあまりありません。予選会トップの大東文化大も、(最下位通過の)日本大に全日本で負けてますから。ブレーキなど失敗のない大学がシード権を獲得するでしょう」(碓井さん)

予選会の結果は、箱根本選には反映されないものだと思っています。母校の日大にはシード権を取ってほしいですね。総合的にはそれほど強くはありませんが、駅伝は流れ。うまくつかんで伝統校の意地を見せてほしいです」(和田さん)

 '17年からは小田原中継所の位置が変更に。4区の距離が延び、そのぶん山上りの5区の距離が短くなる。

「つまり、4区のウエートが高くなる。各校ともナンバー2の選手を投入してくるでしょう」(碓井さん)

4区が準エース区間、3区がルーキーのデビュー区間に戻るのが楽しみです。5区は山上りの重要度が減るので、“山の神”はもう生まれないと思いますね」(和田さん)

<profile>
◎碓井哲雄さん
'41年生まれ。箱根駅伝に3度出場、中央大6連覇に貢献。中大コーチ、本田技研工業監督などを経て、現在は神奈川工科大学陸上競技部監督。箱根駅伝のテレビ解説を務めて23年

◎和田正人さん
'79年生まれ。俳優。箱根駅伝に2度出場(日大)。NHKの朝ドラ『ごちそうさん』でブレイク。'17年の大河『おんな城主 直虎』に松下常慶役で出演する。映画『花戦さ』6月公開予定