朝ドラヒロインが母娘の愛憎劇を熱演

 1年前の『あさが来た』、そして31年前の『はね駒』。かつて話題をさらったNHK朝ドラのヒロイン、波瑠と斉藤由貴が、NHKのドラマ10『お母さん、娘をやめていいですか?』(NHK総合・金曜夜10時~・連続8回)で共演している。仲のよすぎる母と娘を演じる。脚本は、『14才の母』『昼顔』などの井上由美子によるオリジナル。

「“母と娘の関係をモチーフにした作品を”と井上先生からご提案がありました。本作はいわゆる“毒親”や支配的な母親ではなく、一見、仲のよさそうな母娘関係からスタートします。でもそのなかには、ひと筋縄ではいかないものがあったのです

 と、櫻井壮一チーフ・プロデューサー。

 ヒロインの早瀬美月を波瑠、美月の母の顕子を斉藤がそれぞれ演じる。

「美しさのなかに危うさ、脆さが同居する波瑠さんは美月のイメージどおりですし、美しさに加えて危うさ、怖さがある顕子を演じられるのは斉藤さんしかいないと思って、ご依頼しました」(櫻井CP、以下同)

三月(波瑠)が松島(柳楽優弥)に徐々に惹かれていき三月の母・顕子(斉藤由貴)と三角関係に…!? (C)NHK

 美月は高校の英語教師。母の顕子がいちばんの親友で、ふたりは恋人同士のように仲がよかった。ところが、早瀬家の新築住宅を担当することになった住宅メーカーの松島太一(柳楽優弥)が現れたことで、母娘関係に変化が。松島に興味を持ち始め、顕子との関係に疑問を感じる美月。そんな美月の心を敏感に察し、自分から離れていくことに動揺する顕子。美月を奪われたくない一心で、顕子は初デート中の美月と松島を尾行、さらには松島を誘惑してしまう。

「顕子は怖い母親、モンスターママに見えるかもしれませんが、どうしてそんなことをしたのか、ある種の悲しさを感じ取っていただけると思います

 美月と顕子の関係の変化は最大の見どころ。母の呪縛から逃れようとする美月と、暴走していく母の火花が散るようなバトルシーンが毎回登場する。

「さらに、松島にもご注目ください。個性的だったりハードだったりする役が多かった柳楽さんが、好青年を演じています。ご本人も“こういう役がやりたかった”とおっしゃっていますが、楽天的なキャラクターを演じきっています。局内での試写では女性からの松島人気が高く、“こんな男性に救い出してもらいたい”の声が多かったです

 第2話(1月20日放送)では、美月は松島から交際を申し込まれるが、思わず断ってしまう。

 顕子が嫌がる美月を松島と強引にデートさせようとすると、松島は3人でのデートを提案。デートは楽しいものになり、美月と松島は急接近。すると、顕子は松島との付き合いをやめるように、美月に言う─。

波瑠、名古屋ライフ満喫、ムードメーカーは寺脇

 複雑な人間関係ではなく、ひとりひとりの人物を丁寧に描いていく。

「演技派の方々がそろっているので、見事なお芝居のコラボレーションがお楽しみいただけると思います」

 波瑠は、撮影が行われた名古屋に長期滞在し、名古屋ライフを満喫したそう。

「“ひつまぶし”や“味噌煮込み”、最近人気の“あんかけスパゲティ”など名物はひととおりご賞味いただけたかと思います(笑)」

 私生活では、3人の子の母である斉藤は東京との往復に多忙を極めたようだ。

「美月と顕子のシーンは名古屋市内で撮影したのですが、毎回、人だかりができていました。おふたりの人気の高さを痛感しましたね」

 母娘の確執など、シリアスなシーンが多いなか、ムードメーカーになったのは、不甲斐ない夫で父親、早瀬浩司役の寺脇康文

「本作は母と娘の関係を描いていますが、実は、これは父親や付き合う男性にとっても、無関係なものではないんですね。

 劇中で浩司は見て見ぬふりをしていますが、やっかいでも、母と娘の関係には男もきちんと向き合わなければならないんです。女性はもちろんですが、ぜひ男性のみなさんにもご覧いただければと思います」