「知り合いかも」はどのような基準で表示されるのでしょうか(イラスト:グリー/大室絵里)

 ある夜の出来事でした。筆者のフェイスブック友達から、「この人、誰!?」という質問メッセージが続々と届き始めたんです。

 その内容を読んでビックリ。なんと私の80歳になる母が、フェイスブックのアカウントを作り(これだけでも十分ビックリなんですが)、あろうことか、私の友達に、片っ端から「友達申請」をかけまくっていたのでした。さすがわが母、過激ですね。ちなみに登録年齢は27歳になっていました。

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 急いで母に連絡を取り、「そもそもSNSってそういうモノじゃないんだよ、あ、いや、別に間違ってはいないんだけど、あの、とにかく、お願いだから……ちょっとストップ!!!」と緊急停止。

 母曰く、「……ワタシ何もしていないよ」だそうですが、まあそんなワケもないので、きっと知らぬ間に「知り合いかも」関連の何かを、クリックしたんでしょうね。

「知り合いかも」機能の仕組みはどうなっている?

 そうなんです。ウチの母みたいなレアケースは別として、フェイスブックの「知り合いかも」機能はとにかく有能! 友達をどんどん紹介してくれます。そして時々 “ホントにこれどうやって見つけてきたの?”と感心するような「知り合いかも」を連れてきて、驚かされます。実際に私、この機能のおかげで、小5のときに塾で隣の席に座っていた友達と再会することができましたからね。

当記事は「東洋経済オンライン」(運営:東洋経済新報社)の提供記事です

 ですがコレ、時に有能すぎて「……なんでこの人を?」と怖くなるような「知り合いかも」を連れてきたりします。

「同じアパートの隣人が出てきた」「娘の彼氏が……」「かなり以前に別れた恋人が……」なんていう、思わず「なんで!?」という“知り合いかも”エピソード、けっこう聞きますよね。今回はフェイスブックの、「知り合いかも」についてのお話です。

どのようなところに手掛かりがあるのか(イラスト:グリー)

 フェイスブックが「知り合いかも」を表示する仕組みですが、まずおなじみなのは「共通の知り合い」でしょう。AさんとBさんはつながっていないけど、共通するCさんという友達がいる。だから、AさんとBさんも知り合いじゃない?というヤツですね。

 また自分がフェイスブックに登録した「勤務先」や「出身校」なども「知り合いかも」を表示する手掛かりになっています。

アドレス帳の連携でも表示される

 そして、スマホや他社サービスのアドレス帳をフェイスブックに連携させた場合は、当然そこに載っている人たちも「知り合いかも」に表示されますよね。コレ逆もしかりで、どこかでアナタの連絡先をインポートした人がいれば、その人も「知り合いかも」に表示されます。

 さらには「AさんとBさんはつながっていないけど、どちらのアドレス帳にもCさんがいる」という場合。連絡先が重複しているだけで、「AさんとBさんは知り合いじゃない?」と表示されます。

 そのほかにも、同じイベントに登録したり、同じ写真にタグ付けされたり、同じ記事に“いいね”しただけでも、「知り合いかも」の手掛かりになるそうで、アラ、そんなところまで見ていたのね、という感じですよね。

 そして、フェイスブックが「知り合いかも」を表示するこのロジック、実はすべてが公開されているワケではありません。フェイスブックの公式アナウンスでは「“その他の要素”からも『知り合いかも』を表示させる」としており、実は“その他の要素”が、「同じアパートの隣人」や「娘の彼氏」を表示させている原因だったりするんです。

 よく言われるのが、「フェイスブックは、ユーザーのインターネット環境を、実はかなり詳しくチェックしている」という話です。

接続回線が同じだと?(イラスト:グリー/大室絵里)

 フェイスブックは、その人が「どんなネット環境を使っているか」という情報を、少なくとも「場所」と「回線の種類」までは、かなりしっかりチェックしています。ここで重要になるのが「回線の種類」。

「フェイスブックに勤務先を登録していないのに、会社の同僚が“知り合いかも”に表示されてビックリ!」なんていう話を聞くことがありますが、これは職場の同じネット回線を使ってフェイスブックを開くことで、「あれ? 同じネット回線を使っているなら、ふたりは知り合いじゃない?」と表示しているらしいのです。

同じネット環境に注意

 アパートの隣人が「知り合いじゃない?」と表示されるケースも、おそらく同じ理由です。アパート全体で同じネット回線(集合住宅用)を共有しているのなら、同じタイミングでフェイスブックを使えば“同じネット環境”となり、「だったら知り合いじゃないの?」となっている可能性が高いのです。

 さらには「娘の彼氏」が表示されてしまったお父さん。同居している娘さんと、ひとつ屋根の下で同じネット回線を使っていれば、お父さんと娘さんは同じネット環境。だったら娘の「彼氏」もお父さんの知り合いかもしれない! どう? この人知ってる?!と表示されてしまい、お父さんがショックを受ける事件が起きるのです。

 実はこの悲劇、携帯電話会社のスマホパケット使い放題が廃止されたことにも関係がありまして、それまでは家庭の無線LANなんぞ使っていなかった若者が、マメに無線LANにつなぐようになり、その結果「知り合いかも」が強化され、最終的にお父さんの悲劇につながっているようです。

 ややこしいのが、フェイスブック側が、つねにいろいろな「知り合いかも」ロジックをテストしており、その時々で動作が変わることがあり、しかもすべての情報を公開しているワケではないので、一概に言えない部分が多い、という点です。

 まあ仕組みを知れば「なるほどね」という話なのですが、「友達じゃない?」と聞かれたその相手にも、やっぱり同じことを聞いているハズなので、「それ、ちょっと……」という場合は、その表示を×ボタンで消しましょう。そうすれば、以降、相手側にも表示されなくなります。

 一度フェイスブックに読み込ませたアドレス帳の情報も、後から削除できるので、詳しくは、「フェイスブック インポート 削除」などのキーワードでネット検索してみてください。最新の作業手順が見つかります。

 さて、かなり以前に別れた恋人が「知り合いかも」に表示されたケースですが、その人、男子寮に住む学生さんだったんです。それまでまったく表示されなかった「昔の恋人」が、いきなり“知り合いかも”に表示された、その理由は……。

 寮内の学生さんたちも、たいていみんな同じネット環境です。実は寮内に住む学生の1人が、その「昔の恋人」と新たにお付き合いを始めたそうで、新恋人同士がフェイスブックでつながり、その結果、彼のフェイスブックに、非情にも……。ショックでしょうが、とにかくがんばってください。


小木曽 健(おぎそ・けん)◎グリー 安心安全チームマネジャー。グリー株式会社・安心安全チームマネジャー。複数のITベンチャーを経たのち、2010年グリー入社。SNS「GREE」のネットパトロール・カスタマーサポート部門の責任者を経て、2012年8月より現職。インターネット啓発に関する全国での講演、オリジナル教材の作成、NPOなどを対象とした講師育成を担当。講演を基に作成した無料教材「事例に学ぶ情報モラル」は、消費者教育教材資料表彰の優秀賞および特別賞を受賞