古舘プロジェクト所属の鮫肌文殊、山名宏和、樋口卓治という3人の現役バリバリの放送作家が、日々の仕事の中で見聞きした今旬なタレントから裏方まで、TV業界の偉人、怪人、変人の皆さんを毎回1人ピックアップ。勝手に称えまくって表彰していきます。第16回は鮫肌文殊が担当します。

アキラ100% 様

 今回、私が勝手に表彰するのは、「見えるか? 見えないか?」全裸に股間をお盆ひとつで隠す丸腰刑事というインパクト抜群のネタで勝負する裸芸人、アキラ100%である。

アキラ100% 撮影/竹内摩耶

 去年の大晦日、あの『ダウンタウンの大晦日年越しスペシャル‼︎ 絶対に笑ってはいけない科学博士24時』(日本テレビ系)において弟子の(!?)原田龍二と「2人丸腰刑事」として登場。コンビで股間を隠し続け、「もしかして人気俳優の大切な部分が見えてしまうのでは?」と日本中をハラハラさせ、爆笑の渦に巻き込んだことは記憶に新しい。

 2月28日に行われる『R-1ぐらんぷり2017』(関西テレビ)ではファイナリストに勝ち残っている。もしかして優勝なんてしてしまったら、禁断の全裸芸がついについにお茶の間に「当たり前」のものとして受け入れられるかもしれないのだ。

 言っちゃなんだが、お盆で股間を隠すだけの芸である。コンプライアンス的には完全にアウトだ。しかし、シンプルであるがゆえに強い。おそらく日本語が全くわからないマサイ族の若者が見ても、南極のイヌイットの皆さんが見ても、絶対に日本人と同じところで笑うはずだ。非常にワールドワイドな芸なのである。

全裸芸人をここまで褒めちぎる理由

 全裸芸人をここまで褒めちぎるには理由がある。実は彼、私が構成に参加している『じわじわチャップリン』(テレビ東京)の若手芸人の登竜門「ふきだまり芸人」出身なのである。さらに言うとその前身番組『こそこそチャップリン』、もっと言えばレギュラー化する以前、今から2年前の2015年6月に放送された特番『そこそこチャップリン』にはもう出演していた。

 その時、収録現場に立ち会っていたのだが、ネタを披露するステージ裏でお尻丸出しのまま緊張してスタンバっていた様子が忘れられない。当時まだ結婚したばかりだった奥様からの「お仕事がんばってくださいね」って手紙をステージ上で読み上げるサプライズの演出を受けて、素っ裸のまま涙ぐむなんてくだらない名シーンもあった。MCのウッチャンも大笑いしていた。

 このテレ東の本格ネタ番組「チャップリン」シリーズには、他にも横澤夏子や平野ノラなど今をときめく錚々(そうそう)たるメンツが出ていたのだが、なかなか番組をアピールしてくれないのでイマイチ認知されておらず、スタッフとしてまことに腹立たしい。よってアキラ100%には堂々と「じわじわチャップリンのふきだまり芸人出身です!」と公言してほしいのだ。

 てなわけで彼には「ふきだまり芸人魂を忘れず、もっともっとブレイクしてほしいで賞」を差し上げ勝手に表彰したいと思う。

 R-1の結果が楽しみだ。

 がんばれ、アキラ100%!

 

<プロフィール>
鮫肌文殊(さめはだ・もんじゅ)
放送作家。’65年神戸生まれ。古舘プロジェクト所属。「世界の果てまでイッテQ!」など担当。渋谷オルガンバー「輝け!日本のレコード大将」(毎月第2金曜日)、恵比寿頭バー「歌謡曲主義」(毎月第3火曜日)などでの和モノDJ、関西伝説のカルトパンクバンド捕虜収容所のボーカリストなど音楽活動も数多い。

<鮫肌文殊の最新情報>
『らぶれたあ~オレと中島らもの6945日』(講談社刊)まだまだ絶賛発売中。魂こめて書きました。読んでいただければ幸いです。