人の苦しみを高笑い! 悪女を超えた悪魔

 52年続いた東海テレビ制作の“昼ドラ”が、昨年4月“オトナの土ドラ”にリニューアルして1年。『真昼の悪魔』(フジテレビ系 土曜 夜11時40分~)は第1弾『火の粉』のスタッフが再結集し、病院を舞台にした心理サスペンスを描き、注目されている。

「放送直後に作品名が検索ランキングに入るなど、反響が大きく、驚いています」と、東海テレビの遠山圭介プロデューサー。

ヒロインの女性医師を演じる田中麗奈 (c)東海テレビ

 ドラマは遠藤周作の同名小説が原作。ヒロインの女性医師、大河内葉子を演じるのは、田中麗奈だ。医師役初挑戦の田中は、昨年2月に医師と結婚したが、夫からのアドバイスは?

「彼は人を救うけれど、私の役は人の苦しみを見て高笑いするような女医なので別世界かな」

 葉子は才色兼備で、患者からの評判もいい。ところが彼女は幼少期から感情が欠落していて、無感動かつ無道徳な裏の顔を持っていた。彼女は教会の懺悔(ざんげ)室で神父に、“人を傷つけても何とも思わない、悪への衝動が抑えられなくなる”と告白していた。

原作の葉子は、行動こそ悪魔的ですが、純粋で誰からも愛されるイメージ。そのイメージと確かな演技力から、田中さんにお願いしました。芸歴20年の田中さんですから、悪女などさまざまな役を演じたことがあると思いますが、葉子はまさに悪魔。悪女を超えています!」(遠山P、以下同)

 葉子が勤務する病院では、不審死や謎の事件、トラブルが相次いでいた。同院に緊急入院した作家志望の難波聖人(中村蒼)は、葉子に疑いの目を向ける。しかし難波は、親しかった清掃員や学生時代の先輩の医師に裏切られ、精神病棟に移されてしまう。

 キーパーソンで、視聴者目線にいちばん近い難波は、この先どうなる?

「これまでは葉子の怖さが前面に出ていましたが、今後は、サスペンスの要素が強くなっていきます。葉子の悪のアクセルが全開になり、葉子と難波の関係も激しく変わる。さらに病院スタッフはじめ、さまざまな人の心の闇が次々に露呈してきます

 第5話(3月4日放送)では葉子の神をもおそれぬ告白で、神父(伊武雅刀)が動きだす。

怖さの演出に工夫、白衣で役にスイッチ

 冷徹な葉子の怖さが評判だが、画面上では残虐なシーンは極力使わない。

「例えば葉子がアリを踏みつぶすというシーンがありましたが、実際には踏んでいません。刺激的だったり残酷だったりする画像を流すのではなく、カメラワークや音などで彼女の残虐さを表現しています

 ジュージュー音を立てて焼けるステーキや恐怖の顔のアップ、突然ぶつ切りになる音などの効果で、思わず怖くなるんだそう。

 田中は、“白衣を着ると、スイッチが入る”と葉子役を楽しみながら演じ、撮影は佳境に入っている。

「田中さんや中村さん、清掃員役の篠原篤さんが福岡出身なので、ふとした時に土地の言葉が出たりします。先日は、田中さんからケータリングのクレープの差し入れがあり、できたてクレープと温かいコーヒーに大盛り上がりでした」

 この先、悪魔の葉子は、改心する?

「彼女は心の痛みを感じるようになるのか、どう変わっていくか? サスペンスタッチですが、葉子という人間をきちんと描いていきます。“土曜の夜は眠らせません”をテーマにしていますので、思い切り葉子に振り回されてください!

“悪魔モード”は髪型と肉食にあり

 白衣姿の葉子は髪を結んでいるが、一筋の前髪が鎖骨のあたりまでたれている。これはなぜ?

「できる女性だけど少し色気を出しましょうということで決めました。“悪魔モード”といいますか、葉子のテンションが上がっているときはウエーブが、弱気なときはサラッとしているなどの変化もあります。

 肉食系という言葉がありますが、肉を食らうというのは強さの象徴という意味があります。そこで葉子は毎話、ステーキを食べています」(遠山P)

(c)東海テレビ

ドラマの怖さはLINEライブで発散!

 ドラマ放送終了後、『真昼の悪魔 生反省会』と銘打ったLINEライブを毎回配信している。ライブの司会は心療内科医・相沢役の川本成(あさりど)を起用し、制作スタッフやキャストも登場している。

「本作は非常に緊迫した物語なので、視聴後に、怖さを吐きだしていただく場所をつくりたいと思ったんです。大河内葉子がメッセージをくれることも(笑)」(遠山P)

 今後、田中麗奈や中村蒼が生出演することを期待したい!