石原慎太郎元知事は「記憶にない」「専門家に任せた」を連発して記者からは“恥さらし”という声も

 3月3日に日本記者クラブで行われた石原慎太郎元知事の会見を「非常に責任逃れで小心者の記者会見だったと思います」と一刀両断するのは、ジャーナリストの大谷昭宏氏。

 豊洲市場の土壌汚染に端を発した“移転延期問題”は、いまだに解決の糸口が見えない。

 そんな中で石原氏が移転決定の経緯について自らの見解を語ったのだが─。

「点数をつけるなら0点に近いです。新しい情報は何もないし、何しに出てきたのかと思いました」(大谷氏)

 では、どんな内容を話すべきだったのか。

東京ガスとの“瑕疵担保責任”について専門家に任せたから自分はわからないと言っていましたが、何百億円の話を本当に知らなかったのかと。

 瑕疵担保(欠陥があった場合の保証)をめぐる東京ガスとのやりとり、盛り土をしなかった理由の説明も元知事として説明する責任があったのです」(大谷氏)

 都は東京ガスと'11年に結んだ協定書で“(東京ガス側は)今後、土壌汚染にかかわる費用を負担しない”として東京ガス側の瑕疵担保責任を放棄。

 この協定のために膨らんだ860億円の処理費用の大部分を都が負担することになるという不可解な点が今回の会見のポイントだったのだが、

「協定書には石原氏の名前が印字されていて、知事の押印もあるのに会見では“部下に任せきり”“記憶にない”とはぐらかすばかり。何のために知事がいるのかわかりません」(政治ジャーナリスト)

 小池百合子都知事も、この会見について感想を述べた。

都民の税金から捻出した豊洲市場の整備費用は当初の予定を超え約6000億円にのぼる

「新事実がいろいろと出るかと思いましたが、よくわかりませんでした。せっかくの会見だったのに残念です」

 都議会は豊洲問題を検証するため、調査特別委員会(百条委員会)を設置することも決定。20日に石原氏が証人喚問されるが、はたして真実は明らかになるのだろうか。

  “ファクト”を明らかにすることが大切な一方で、小池知事には“ファースト”に対応してもらいたいことも。移転の延期がこのままの状態で続いてしまうと都民の“血税”が消費され続けてしまうのだ。

「小池知事は2月10日の定例会見で、豊洲移転の延期に伴う損失補償のため50億円の補正予算案を組むと発表しました。当然ながら、移転の判断が先延ばしされるほど税金による出費はかさみ続けます」(全国紙社会部記者)

 当初は4000億円弱とされた豊洲新市場の整備費用は、およそ6000億円にまで膨れ上がっている。ただでさえ多額の税金を注ぎ込んでいるだけに、これ以上の出費は都民も我慢ならないことだろう。

莫大な金額の損失はありますが、一刻も早く豊洲をあきらめて築地をどう再生するかを考えるべきです。現状では、豊洲経由の生鮮食品を都民が買うはずはありません。今後、都民は豊洲を経由していない生鮮食品を求めるようになるでしょうね。小池都知事には早めのご決断をしてほしいです」(大谷氏)

 小池知事には、築地市場の労働者のためにも早急な“英断”が求められている。