スペシャルドラマ『LEADERS II』(TBS系・3月26日夜9時~)は、3年前に2夜連続で放送され、反響を呼んだドラマの続編。戦後、国産自動車の製造と販売に情熱を注ぎ、世界市場に打って出た男たちの奮闘ぶりを描く。“伝説のプロデューサー”が語る熱き“ドラマづくり”の裏側とは──。

夢を作る男と売る男、“車の両輪”をなす絆

アイチ自動車の製造部門の男たちは、シャフトの耐久性についての問題を抱えていた (c)TBS

「このチームで集まることは久しぶりですが、普通のドラマとは違って、総移動距離が、地球半周分に及ぶくらい、海外や地方での撮影が多かったこともあって、結束力が非常に強いチームです」(主演の佐藤浩市)

 舞台は、第二次世界大戦前後の日本。佐藤演じる愛知佐一郎は、アイチ自動車の社長。日本の技術力を信じ、国産自動車の製造と販売、さらには世界への輸出という大いなる夢に人生を賭けていた。

 史実に基づいたフィクションで構成されている。

「前作は失敗を繰り返しながらモノを作り上げていくという普遍性のあるテーマで、主にアイチ自動車の社員たちを描きました。しかしモノづくりの“製造”とそれを売る“販売”は、自動車の両輪のようなもの。佐一郎の夢を支えた人々は、社外にもいたのです。今作では、夢を作る(製造)男と夢を売る(販売)男たちの姿、絆を描いています

 と語るのは、貴島誠一郎プロデューサー。『ずっとあなたが好きだった』『愛していると言ってくれ』ほか’90年代を牽引したドラマ制作に携わった“伝説のプロデューサー”が指揮を執り、メガホンをとるのは、福澤克雄監督だ。

 前作から続投する吉田栄作、萩原聖人らに加えて、続編には内野聖陽、東出昌大、大泉洋、尾上菊之助、郷ひろみ、菅野美穂、山崎努が新たに登場する。

「出演者は男性が多いので、撮影現場は男子校の体育会系の雰囲気。俳優さんたちは、気兼ねなく演技に没頭していました」(貴島P、以下同)

 物語では、自動車の性能を上げるための製造部門の“鉄との格闘”、販売店では顧客第一の鉄則を守るため“故障との格闘”が展開される。“自動車を作るということは、命を扱うということだ”など、心に響く佐一郎の名言もちりばめられている。

 ドローンでダイナミックに撮影した美しい風景、手間暇かけて再現した昭和の街並みや出演者のいでたちにも注目したい。

立ち姿が美しく、セリフが完璧な佐藤浩市

 主役は、佐藤以外になかったという。

「ドラマには立ったり歩いたりするシーンが全体の約5%ありますが、佐藤さんはまず、立ち姿が美しい。そして、セリフが完璧です。全国の販売店員1500人を前に演説する長いシーンがあり、30回くらい撮影しても、ほとんど間違えなかったですね。佐一郎だけでなく、演説を聞いている出演者、エキストラの様子も撮るので回数が多くなるんです。佐一郎自身の撮影以外は、台本を読みながら、または佐一郎のセリフの音声を流すだけでもいいんです。ですが、俳優としての矜持でしょう、すべてを演技してくださいました。おかげで現場の士気は非常に上がりました」

佐一郎に惚れこんだ山崎は、アイチ自動車の販売に協力する (c)TBS

 撮影は上海と日本全国におよび、2か月あまり行われた。四方にカメラを置き、いろいろな角度から撮影するという方法を採用しているため、出演者は360度、気が抜けない。

「福澤監督は、“セリフをなるべく早く”とお願いしていました。それは、技術的な説明ゼリフも多いので、たくさん表現したいからこそ。僭越ながら山崎努さんに“セリフの言い回しはスピードがあるのに説得力もあって見事ですね”と感じたままをお伝えしたら、ご本人はニヤリとされていました」

 心地よいスピード感のあるセリフは全編に行き渡っていて、後半に登場する内野と大泉のガチンコ対決も迫力満点の仕上がりに。

日本を代表する俳優さんたちの、熱く、むさくるしい(笑)お芝居を堪能してください。前作では額に汗して頑張っている姿が気持ちいいとのご意見をいただきましたが、今作でも男たちは激しくぶつかり合っています」

1000人超えエキストラの迫真演技!

 物語後半に、全国のディーラーが一堂に会するシーンがある。この撮影には1500人のエキストラが参加したという。すごいのは、人数だけでない。

「エキストラの大半はボランティアの一般市民の方ですが、演出チームは彼らにも芝居を要求するんです。笑いを交えながら“あなた方が参加してくれたら、この作品はもっとよくなるから、厳しくしますよ”と説明。素人さんだからできなくて当然ということはないんです。実際、何度も撮り直しをしましたが、エキストラも自分が出演者であるという気持ちで頑張ってくれました」(貴島P)