峯田和伸

 まるでビートルズのようなマッシュルームカットに、一風変わったヒッピーファッション。怪しい雰囲気だけど、野菜を持ってきてくれたり、なんだか優しい変な男……お前はいったい誰なんだ? NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』に、有村架純演じる主人公・みね子の叔父役で出演している峯田和伸という男である。

「峯田さんは'77年生まれで現在、39歳。もともとはバンドマンで、'96年にバンド『GOING STEADY』のボーカル&ギターとしてデビューしました」(音楽雑誌ライター)

 '03年にバンドを解散し、現在は『銀杏BOYZ』として音楽活動を続けている。

《自分の感情や考えを、何のフィルターも通さずに歌にしている。彼らの内面がむき出しになった音楽を聴いていると、とても心が熱くなる》

《若い人に聴いて欲しいし、段々と社会の波に揉まれ変わって行く私達も青春時代の気持ちを忘れない為にも時々思い出した様に聴きたい》

 これらは、GOING STEADYが'01年に発売したアルバム『さくらの唄』のamazonにおけるレビュー。すべての曲の作詞作曲を彼が手がけている。

「当時、付き合っていた彼女のことを歌うなど、カッコつけずにまっすぐな気持ちを表現した歌詞に攻撃的な音楽性が若い世代に受け、特に2000年代前半の中高生に爆発的な人気となりました」(前出・音楽雑誌ライター)

 また、峯田自身の人間性やパフォーマンスも人気にひと役買っていた。

「峯田くんといえば、ライブでの“裸トラブル”が有名です。野外フェスで全裸になってしまい、ほかのメンバーが謝罪したり、書類送検されたことも。'07年に台湾で行われたライブでも半裸になってしまい、現地で罰金を払っています」(レコード会社関係者)

 酔っ払うと脱いでしまう人は少なくないが、峯田はそういった“脱ぎグセ”があるタイプとはちょっと違っていて、

「すごく盛り上がって、舞い上がって脱いでしまったこともあると思いますが、峯田さんが裸になってしまったときは、“ライブ会場の舞台監督が嫌いだから”だったり、そのための“抗議”的なことも多いんです。飲んで脱いでしまって迷惑をかけるタイプではないですよ。だからってライブ会場で脱いでいいわけではないですが(苦笑)」(前出・レコード会社関係者)

筑紫哲也さんの席でパンツ一丁に

ナレーションの増田明美も「変なおじさん」と表現した劇中の峯田(NHK『ひよっこ』より)

 また、台湾で裸になった'07年にはこんなエピソードも。彼の2つ目のバンド・銀杏BOYZが、まだ筑紫哲也さんが出演していたころの『NEWS23』(TBS系)に生出演したときのことだ。

「トーク中は普通の格好でしたが、演奏に入るとパンツ一丁に。途中で筑紫さんたちが座るテーブルで熱唱。そこで番組は突然終了に。峯田さんはMCで“あんまりテレビ出ねぇからうれしくてしょうがねぇ”と言っていましたが、変なことをしたいということではなく、単純にうれしさを表現しただけだと思います」(前出・レコード会社関係者)

 ただ表現の仕方が“大人”や“常識”といった世界からは少しはずれてしまう。

「彼はバンドのメンバーたちが大好きで、大好きすぎるがゆえに奥さんに嫉妬してしまう、暴れてしまうという理由でメンバーの結婚式も出席していません。また“仲のよさを確かめ合うため”という理由で、メンバー同士でアソコを触り合ったりも……」(前出・音楽雑誌ライター)

 以前、峯田と仕事をした経験のある雑誌編集者は、

「会って話すとすごく純粋で裏表のない人ですよ。仕事でアイドルを取材したり、彼女たちのDVDを見る機会が多いと話したら、“マジっすか!? 僕、お金いらないんで、レビューの仕事とかさせてもらえないっすか? DVDもらえないっすかね? これマジで言ってるんですけど!”って(笑)。実際に変装してアイドルのサイン会などに参加したこともあるそうですよ」

 この峯田という変わった男、音楽で人気になったのはわかったけど、肝心の演技は“ひよっこ”では? と思いきやそうでもない。

「'03年にみうらじゅんさんの漫画を原作に、田口トモロヲさんが監督をした映画『アイデン&ティティ』に主演し映画を中心に俳優業でも活躍していますね。役柄はボブ・ディランに憧れるバンドマン役やライバル会社の人間に決闘を挑むサラリーマン役、AV男優役など個性的な役が多いですね」(映画ライター)

 彼の名誉のためにも、最後にいいエピソードをひとつ。

「リリー・フランキーさんなども出演した映画『色即ぜねれいしょん』に峯田さんも出演しました。映画のストーリーは、モテない少年が“フリーセックスの島”を目指すというものなのですが、完成披露試写会で取材に来た芸能レポーターが、共演者の臼田あさ美さんに“(露出度が高かったが)映画ではノーブラだったんですか?”“フリーセックス派ですか?”などと質問をしたんです。インタビュー後、峯田さんが“どういう意味で聞いたの?”と問い詰めるという場面がありました」(前出・映画ライター)

 破天荒だけど、やるときはやる頼りになる男。